2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K13389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾高 悠志 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30700356)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | K3曲面 / モジュライ / 密度関数 / 重力インスタントン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度における研究は、広義の意味でのCalabi-Yau多様体ないし、標準因子が自明である多様体、とりわけK3曲面のモジュライのコンパクト化や関係するopenなCalabi-Yau多様体の上の完備Ricci-flatケーラー計量(重力インスタントンなど)に関係した研究を主に行った。この中で、完備Ricci-flatケーラー計量(重力インスタントンなど)の存在問題は古典的でありかつコンパクトな多様体の場合より難しい問題であるが、これに対応する代数幾何的条件の探求の研究を始め、K安定性の類似物を定義して性質を調べた。大島芳樹氏とはK3曲面の線分への崩壊においてのMongeAmpere測度の極限において生じる区分線形関数を分類する仕事を実現する研究をした。正確には我々各々が別アプローチでの単著を書くことになり、私はAlexeev-Brunyate-Engel氏の楕円K3曲面のモジュライコンパクト化を再構成しつつそれと関連づけて部分的に証明した。また、非アルキメデス幾何的観点からも、前述大島芳樹らと提唱してきたトロピカル幾何学的なモジュライの標準的なcompact化の理論と、代数幾何的なモジュライのcompact化の理論を統合する視野を模索し、トロイダルコンパクト化の射影極限がそれらをともに支配していること、並びにそれらの類似として、退化Calabi-Yau多様体の射影極限として、Puiseux級数環上のモデルである銀河モデルを定義し、これらが代数幾何的退化と計量の崩壊極限の両方への連続写像を持つことを証明したりした。同時に、Delcroix氏との共同研究(私は彼の論文の付録として独立に成果を記載)においては、球多様体についての一般偏極でのYau-Tian-Donaldson予想の証明を現在発展している変分法的なアプローチに基づいて証明されることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究は順調である。コロナ禍の影響は大きいものの、海外との交流はオンラインである程度行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
超ケーラー多様体のモジュライに関わる研究を引き続き進めていく。たとえば前年度K3曲面のtype II退化に関わる線分上の密度関数の研究を大島芳樹氏との議論を行いながら行なったり、Alexeev氏やEngel氏らと代数幾何的なモジュライコンパクト化についての議論を発展させたので、そうした研究の蓄積も今後役に立っていくものと想定される。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、海外出張などが全て取りやめとなり、使う予定であった資金に余剰が生じた。2021年度のために自分が研究代表者である科研費を新たに申請することはせず、この資金を十分有効に活用することとした。
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Research Products
(2 results)