2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K13389
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾高 悠志 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30700356)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | moduli空間 / 志村多様体 / K3曲面 / 退化 / 保形形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は K-自明な多様体、とりわけK3曲面のモジュライ空間の代数幾何的なコンパクト化の構成や構造という準古典的な問題について、Alexeev-Engelらが起こした大きな発展での一般論における主定理について、双有理幾何学における錐定理(Svaldi, 藤野)や混合ホッジ構造の変形という道具立て及び、志村多様体のコンパクト化の一般論を用いることで再証明を得ることができたのが一つ満足な点である。弱Kモジュライ空間と名付けたその準古典的なコンパクト化の非一意性や諸性質の代数幾何的な面が整理された。その(Artinモジュライスタックへの)さらなる拡張を模索する過程においてはまた、向井茂氏との議論に感化されて、Sterkの1990年代に構成した次数2の偏極つきEnriques曲面のモジュライを対数的なK安定、K-モジュライの枠組みによって捉え直すことができるということも確認できた。もう一つの成果としては、これも上記の流れの中で生まれたものであるが、志村多様体の古典的なコンパクト化であるトロイダルコンパクト化や準トロイダルコンパクト化について、純粋に双有理幾何学的な意味での、対数的極小モデルとしての特徴づけに成功した。また、前田洋太氏と、既存の保形形式を利用した形ではあるが、佐武-Baily-Borelコンパクト化がFano多様体などになる志村多様体について幾らか調べた観察をまとめる論文も書いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
K安定の観点からmoduli空間やそのコンパクト化を模索するという長年の私の指針において、古典的であるK自明な場合について弱モジュライ空間の性質について例を見ながらAlexeev-Engel理論について一定の整理をすることはできた。しかしArtinスタックの場合や標準計量の極限との関係など、問題は多く残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
K-自明な多様体のモジュライのコンパクト化がどのような構造を持ちえるのか、標準計量の極限との関係についてはまだ多くの問題が残っているので、今後は以前Fano多様体の場合に多くの議論をした微分幾何学がわの共同研究者たちや崩壊現象を共に調べた共同研究者との議論を活発化させながら、これらの問題をexplicitな形で再考していきたいと思う。同時にKahler-Einstein計量ではない場合のK-モジュライの問題や、Arakelov幾何学など数論幾何的な方向性についても2015年の私のFaltings高さの拡張の研究成果をもとに再考していく予定である。
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Causes of Carryover |
長く引き続いているコロナ感染症のもたらす社会的影響で、研究活動における通常の出張や招聘業務などが滞り、オンラインなどによる議論だけにとどまっているために旅費や人件費・謝金が発生しなかった。
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Research Products
(4 results)