2020 Fiscal Year Research-status Report
標数0および正標数における重さ1のモジュラー形式の明示的計算とその応用
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18K13394
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
小笠原 健 獨協医科大学, 医学部, 助教 (90709776)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 法pモジュラー形式 / 重さ1のモジュラー形式 / ガロア群 / 代数体 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度にG. Schaefferにより計算された、法4で1に合同な素数pをレベルにもち、位数8のnebentypusをもつ重さ1のunliftable mod 7 formの1つに対して、対応するPGL(2,7)-多項式(8次式)の発見に成功した。これは判別式p^7の8次体を定め、その正規閉包のガロア群がPGL(2,7)と同型になるものである。この形の判別式をもつPGL(2,7)-多項式は現時点では代数体のデータベース(LMFDB、Kluner-Malleなど)には見られない。判別式がかなり大きく、この体を定義するモニック多項式の係数の絶対値も大きくなるために、多項式の探索はかなり困難なものであった。しかし、モニックではない多項式にまで探索範囲を広げることで、比較的係数の絶対値が小さい定義多項式を発見するに至った。また、モジュラー形式の計算とは独立に、判別式が-p^7の形のPGL(2,7)-多項式を2つの素数pで発見した。これらについては、対応すべきガロア表現のコンダクターがp^2になるため、レベルpのモジュラー形式とは対応しないものである。これまでの計算結果から、素数pの法4での値によって、レベルpのunliftable mod 7 form と対応する代数体の判別式が異なる様子が見てとれたが、これらは、J. P. Serre(1977年)によってまとめられた、標数0の場合におけるレベルp、重さ1のモジュラー形式のガロア表現の分類のmod 7 form版と考えられる。 標数7以外においてもunliftable formの計算を実行し、当該年度はmod 3 formの計算も多く行った。その結果、いくつかのunliftable mod 3 formはPGL(2,9)-拡大と対応するであろうと推察されたが、多項式の次数が大きい故にその発見には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
法4で3に合同な素数p<10000について、レベルp、nebentypusとしてクロネッカー指標(-p/*)をもつ重さ1のunliftable mod 7 formの計算がほぼ完了し、対応する代数体の定義多項式も見つけている。また、G. Schaefferによって、法4で1に合同な素数p<3000について、レベルp、重さ1のunliftable mod 7 formが計算されている。このうち、PSL(2,7)-拡大に対応するものについては、定義多項式もすべて見つけている。PGL(2,7)-拡大に対応するものについては、1つのmod 7 formに対して多項式を見つけることができた。以上の結果について論文を執筆しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに計算したunliftable mod 7 formとPGL(2,7)、PSL(2,7)-多項式に関する結果について論文を完成させる。また、標数7以外のunliftable mod l formの計算結果についても、ガロア表現との関係を整理し論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
当該年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、研究集会・学会のオンライン開催、出張の自粛等の事情が生じ、出張旅費の支出が全くなかった。そのため次年度使用額が生じた。次年度では、出張が可能になればその旅費、資料購入費、機器整備費用として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)