2019 Fiscal Year Research-status Report
表現スキームによるコーエン・マコーレー加群圏の構造解析
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18K13399
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
平松 直哉 呉工業高等専門学校, 自然科学系分野, 准教授 (20612039)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 次数付き極大コーエン・マコーレー加群 / 加算表現型 / module variety |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は表現スキームの対象を局所環上の極大コーエン・マコーレー加群(以後、MCM加群)に対してではなく、次数付き環上の次数付きMCM加群に変更し、考察を行った。これは昨年度の実績を踏まえた方策の変更である。次数付きMCM加群における表現スキームは[Dao-Shipman, 2017]による先行研究がある。次数付きアファイン代数Rの極大MCM加群はRのネーター正規化S上自由加群になる。S加群としての階数を固定したとき、極大MCM加群はある代数多様体の点として実現でき、また同型類は一般線形群の(次数0部分の)軌道に対応する。この関係を吟味し、加算表現型をもつ次数付きCM環上において以下のことを示すことができた。ここで加算表現型をもつとは、直既約な次数付きMCM加群の同型類がシフトの差を除いて加算個存在するときをいう。加算表現型をもつ次数付きCM環R上の次数付き極大MCM加群の同型類はS上の階数を固定したとき、高々有限個しか存在しないことを示した。さらにRが孤立特異点をもつときには、加算表現型であることと([Drozd-Tovpyha, 2014]の意味で)離散表現型が同値であるとこを示した。またある特定の状況において[Bongartz. 1991]による幾何学版森田同値の類似の結果も得ている。以上のことについて、論文を執筆し投稿中である。 2019年度の結果はDaoとShipmanによる次数付きMCM加群の幾何学的な視点に基づく考察、知見であり、肝要である。本課題の予算により第41回可換環論シンポジウムの報告集を作成し、国内外の研究者、研究機関(計193件)に配布した。可換環論の最近の知見を広める上で重要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は方策を変更し、次数付きMCM加群を対象にしてその表現スキーム(module varierty)を観察した。その結果、業績でも述べたように、加算表現型をもつ場合であってもある種の有限性、階数を固定してた次数付きMCM加群が有限個しかないこと、を示すことができたことは評価できる。また離散表現型と加算表現型の違いも明確にできた。孤立特異点を持つ場合にはそれらは同値な概念である。しかしながら次数付きMCM加群の表現スキームの、連結成分などの幾何学的性質の分析、加算表現型より大きなクラスの表現型(順表現型や野生表現型)の具体的な計算にまでには至ってはいない。以上の理由からやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次数付きMCM加群の表現スキームについて、これまで知られている順表現型をもつ超曲面環などにおいて具体的な計算を行う。その計算と平行してEndolength有限な加群を抽出、解析し、順表現型の幾何学的な特徴づけを試みる。
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Causes of Carryover |
勤務校の業務の関係からいくつかの出張の取り止め、また出張期間の短縮を行ったためである。2020年度の使用計画としては、本課題に関連する研究集会が開催されればその参加旅費に、また関連する書籍や論文複写購入費として使用する。
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Research Products
(7 results)