2021 Fiscal Year Research-status Report
| Project/Area Number |
18K13403
|
|---|
| Research Institution | Nippon Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
内藤 貴仁 日本工業大学, 共通教育学群, 講師 (20724511)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
| Keywords | 自由ループ空間 / ストリングトポロジー / 有理ホモトピー論 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は，自由ループ空間の有理係数(コ)ホモロジーの構造を調べる事である．自由ループ空間には，ループの回転により自然な単位円の作用があり，その作用による同変(コ)ホモロジーを考える事ができる．その同変ホモロジーは，ストリング括弧積と呼ばれるリー代数構造を持つことがChas-Sullivanによって示された．しかしながら，ストリング括弧積を具体的に計算することは非常に困難であり，これまで与えられた計算例は非常に少ない．
これを踏まえて，Batalin-Vilkovisky多様体（BV多様体)と呼ばれる多様体のクラス上のストリング括弧積に着目し研究を行った．BV多様体とは，栗林-内藤-若月-山口によって導入された多様体のクラスであり，自由ループ空間のホモロジー上のBV作用素により特徴付けられる多様体である．更に，BV多様体はformal多様体のクラスを含むことが示されている．今年度は，BV多様体の自由ループ空間のホモロジーと同変ホモロジーの間の関係性を明らかにし， これまで知られていなかったformalではない多様体の有理数体係数上ストリング括弧積の計算例を与える事に成功した．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度に得られたBV多様体とそのストリング括弧積に関する研究成果は，今後の自由ループ空間のコホモロジーの構造を調べる為の新たな研究手法を与え，研究の更なる進展が期待される．しかし昨年度に引き続き新型コロナウィルスの影響により，予定していた国内出張が行えなかった．それによる十分な情報収集や研究成果発表ができなかったため，研究計画にやや遅れが出ている状況である．
|
| Strategy for Future Research Activity |
昨年度まで取り組んできた自由ループ空間の相対ホモロジー上に定義されるストリング余積に着目し，BV多様体上のストリング余積についての研究を行う．特に，ストリング余積から誘導される同変ホモロジー上のリー余代数構造について調べ，その性質に関する研究に取り組んでいく．
|
| Causes of Carryover |
昨年度に引き続き，新型コロナウィルスの影響により，予定していた国内出張が全てキャンセルになったため，計画通りに旅費を執行する事が出来ませんでした．次年度は，執行できなかった旅費を使用して出張を行い，研究発表や情報収集を行う予定である．
|
