2018 Fiscal Year Research-status Report
A deeper understanding of moduli theory integrated by special Riemannian metrics and convex polytopes
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18K13406
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
四ッ谷 直仁 香川大学, 教育学部, 准教授 (00806755)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | GIT-安定性 / モジュライ空間 / トーリック幾何学 / δ不変量 / 自己同型群 / Fano多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的の一つとして掲げていたトーリックFano多様体上の一様相対安定性については,共同研究により「一様相対K-安定性」という概念をトーリック多様体の場合に,付随するpolytope上の凸解析的な情報で記述することに,成功した.一方で,ハイパーケーラー多様体の(微分幾何学的な)貼り合わせ構成という研究課題については,まだ立ちはだかる困難も多く,今後の研究の進展に向けて方向修正が必要だと思われる.また,それら申請書作成時点で掲げていた研究目標とは別に, pairwiseな一様K-安定性に関する部分的な結果を代数曲線の場合に得ることができ,RIMS講究録2019から発表することとなった.この pairwiseな一様K-安定性については,北京大学のTianが導入した新しい概念であるため,関連した研究を遂行している関係者はほとんどおらず,まだまだやるべき事が多く残されている状態と言える.その関係もあり,2019年度の研究目標として北京大学の関連研究者とこの「pairwiseな一様K-安定性」についての共同プロジェクトを立ち上げ,今後のケーラー幾何学の重要な進展に関わる問題解決に挑戦する予定である.またその後の研究の展開に関して,トーリックケーラー多様体の範疇を超えた, group compact化やT-varietyといった、より一般的な枠組みから統一的な視点で問題解決を図ることが,プロジェクトを成功させる上での重要な鍵と予想される.他方、3次元トーリックFano多様体における自己同型群の簡約性とK-安定性の関係を明らかにし,さらに一般次元でδ不変量とgreatest Ricci lower boundと呼ばれる2つの幾何学的不変量が一致することを, (1) 先行研究を下にした考察 および (2)トーリックの特殊性を用いた組み合わせ論的手法 の2通りの方法で証明することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は,就任初年度ということから,新しい研究環境において十分な時間をかけて研究を遂行することができなかった.その限りられた時間の中で, 代数曲線上のpairwiseな一様K-安定性に関する観察結果や,トーリックFano多様体上におけるδ不変量とgreatest Ricci lower boundの等価性を示せたのは,大きな収穫であった.またハイパーケーラー多様体の貼り合わせ構成に関する考察については,研究を遂行する時間的な余裕がほぼ皆無であった.しかし,Huybrechts-Xuによるhyper-Kahler fourldのLagrangian fibrationに関する結果[arXiv:1902.10440]など,関連研究者による最前線の結果をfollowする努力を怠らず,着実に自分自身の守備範囲を広げて行く必要がある.その意味で, E-mailや国際研究集会などを通して国内外研究者と知識を共有する場を設けられたのは,今後の研究の進展に大きな寄与をもたらすものと思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は代数曲線上のpairwiseな一様K-安定性に関する観察結果(RIMS Proceeding 2019に掲載予定)を足掛りに、複素ベクトル束上のpairwiseな安定性(Stability of pairs)を発展させるプロジェクトを計画している。事実、標準計量とGIT-安定性の関係は、ベクトル束上のHermitian-Einstein計量とMumford-TakemotoのSlope-安定性(いわゆるKobayashi-Hitchin対応)がDonaldsonのアイディアの原型にある。このSlope-安定性を巧みに偏極代数多様体上に応用したのが、2007年のRoss-Thomasの結果であり、現在申請者が推進する研究方策は一言で言うと、「これらKobayashi-Hitchin対応のアナロジーとして生まれた偏極代数多様体上の議論を複素ベクトル束に逆輸入する」ものとなる。実際、このようなアプローチは2018年度末にHashimoto-Kellerによっても試みられているが、未だ成功には至っていない。そのため、2019年6月末に清華大学(北京市)で行われる複素幾何学の国際研究集会に参加し、Kellerをはじめとする関連研究者と議論を行い、複素ベクトル束上のHermitian-Einstein計量の存在性に本質的となるGIT-安定性の定義をStability of pairsの観点から導入する。
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Causes of Carryover |
aaa
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Research Products
(9 results)