2019 Fiscal Year Research-status Report
Symplectic Geometry and Geometry of Loop Spaces
Project/Area Number |
18K13407
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
入江 慶 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (90645467)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | シンプレクティック幾何 / Hamilton力学系 / 周期軌道 |
Outline of Annual Research Achievements |
シンプレクティック幾何学におけるFloer理論と、その応用としてHamilton力学系の周期軌道について研究している。本年度の研究成果は以下の通りである。 (1): Floer-Hofer-Wysockiは、Floerホモロジーを用いてシンプレクティック・ベクトル空間の部分集合の「大きさ」を表す不変量(シンプレクティック容量)を定義していた。以下これをFHW容量と呼ぶ。 本年度発表したプレプリント``symplectic homology capaity of fiberwise convex sets and homology of loop spaces '' において、fiberwiseに凸な集合に対してそのFHW容量をループ空間のホモロジーを用いて表す公式を証明し、その応用として、凸体のFHW容量はその境界上に現れるHamilton周期軌道の作用量の最小値と一致することを示した。後者の結果は同時期にAbbondandolo-Kangも得ており、彼らのアプローチと私のアプローチの関係については研究中である。 (2): 一昨年度に発表した、ストリング・トポロジーと擬正則円盤に関するプレプリントを査読者のコメントを踏まえて改訂した(J. Topologyに掲載)。 (3): 三次元Reeb力学系に対するC∞級閉補題に関して、結果の改良や今後重要と思われる予想・問題について短い論文にまとめた(投稿中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一般に、シンプレクティック容量は計算したり評価したりするのが難しい。 (1)の結果は、fiberwiseに凸という比較的弱い仮定のもとで、代表的なシンプレクティック容量の一つであるFHW容量の計算をループ空間のホモロジーの計算という(原理的には)より易しい問題に帰着するものであり、様々な応用が期待できる。実際、上記の論文において、「凸体に対してはすべてのシンプレクティック容量が一致するのではないか」という有名な予想をFHW容量に対して検証することができた。 (2)は、ストリング・トポロジーの擬正則円盤の理論への応用に関する懸案の技術的な問題に決着をつけるもので、きちんとした形で出版できた意義は大きいと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究実績欄(1)の結果をもとに、シンプレクティック容量をループ空間のホモロジーを用いて計算する手法の開発を進める。特に今年度は(力学系の立場から興味深い)具体例について計算を行うことを目指す。
|
Causes of Carryover |
当初の予定より出張が少なかったため。次年度については、研究打ち合わせや学会参加のための旅費で使用する予定であったが、コロナウイルスの影響で出張が難しくなりそうなので、見直しの必要があると思われる。
|
Research Products
(7 results)