2022 Fiscal Year Research-status Report
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18K13408
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
清水 達郎 東京電機大学, システム デザイン 工学部, 助教 (00738859)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Chern-Simons摂動論 / 配置空間積分 / Reidemeister torsion / simple loop |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主対象であるCasson不変量の理解に向けて,Reidemeister torsionとChern-Simons摂動論の関係について研究を進めている.Chern-Simons摂動論は3次元多様体の不変量を大量に与えるが,本研究のテーマであるCasson不変量はその最も基本的な不変量の1つととらえることができる.この意味でChern-Simons摂動論とReidemeister torsionの関係を調べることは本研究を遂行する上で重要である. より具体的に研究内容を述べる.Chern-Simons摂動論で自然に現れるdefectと呼ばれる不変量と,Reidemeister torsionは本質的に等価であることが期待される.これはChern-Simons摂動論の物理的背景(Chern-Simons量子場の理論)およびいくつかの先行研究から自然に期待される予想である.この予想の真偽を調べるため,いくつかの具体的状況において研究を遂行している. defectとReidemeister torsionは共に非輪状表現の不変量とみることができるが,昨年度までの研究で表現がアーベル表現の場合には両不変量が本質的に等価であることを証明している.本年度はより広い非輪状表現についてアプローチを行い,主に以下の2つの成果を得た: 1)結び目に沿った手術によって得られる具体的な例のクラスに対して組み合わせ的な計算方法を確立した. 2)北野晃朗氏(創価大学)との共同研究で,トーラス和に関する手術公式を確立した. これらの成果により今後具体的計算を用いた問題へのアプローチが可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス蔓延による行動制限のため,情報収集・研究交流が遅れている. また,現在取り組んでいるChern-Simons摂動論とReidemeister torsionとの関係に関する研究は研究計画当初の想定よりも技術的に難しい面が多く,時間を要している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は情報収集・共同研究等を新型コロナウイルス蔓延以前に近い・または上回る水準で行い,積極的に情報収集を行う.また,現在取り組んでいるChern-Simons摂動論とReidemeister torsionとの関係に関する研究は本研究課題へのフィードバックが期待されるものの,完全な形での完成には時間がかかることが想定されるため,別のアプローチも含め研究計画を慎重に吟味する.
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Causes of Carryover |
本年度は新型コロナウイルス蔓延に伴う行動制限のために情報収集・研究交流等が当初計画通りに行えなかった.そのため,旅費,人件費の使用が縮小したほか,情報収集遅延に伴う研究計画の遅れに伴い物品等の購入も一部見合わせた.なお2023年度は情報収集・研究交流等を盛んに行い,研究を推進する.
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