2019 Fiscal Year Research-status Report
Geometric structure of Weil-Petersson metric on infinite dimensional Teichmuller space
Project/Area Number |
18K13410
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
柳下 剛広 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (60781333)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Weil-Petersson計量 / タイヒミュラー空間 / 擬等角写像 / リーマン面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は無限次元タイヒミュラー空間上のWeil-Petersson計量の幾何学的性質を明らかにすることを目的とする. タイヒミュラー空間とは標識付きリーマン面の変形空間である. 特に, リーマン面がコンパクトでない場合, その空間の次元は無限となる. また, Weil-Petersson計量とは元来有限次元タイヒミュラー空間上で定義される標準的なエルミート計量のことである. 無限次元においては2乗可積分タイヒミュラー空間という, タイヒミュラー空間の部分空間上においてWeil-Petersson計量が定義できる. 近年, 有限次元の場合のWeil-Petersson計量の重要な性質(曲率の負値性など)と同じ結果が無限次元においても得られており, 本研究はその流れの中に位置する. 本年度は前年度の課題であるWolpertの公式の無限次元への拡張を遂行できる見通しが立たなかったため, もう1つの課題であるWeil-Petersson計量から誘導される距離(WP距離)の非完備性について研究した. 先行結果として, コンパクトリーマン面のタイヒミュラー空間の場合はこの距離は非完備であることが知られている. このことから, WP距離に関するタイヒミュラー空間の完備化が考えられ, その境界に現れるリーマン面はノードと呼ばれる結節点を持つ. 一方, 単位円板のタイヒミュラー空間の場合はWP距離は完備となることが知られている. 本年度はLehner条件を満たす(単純閉測地線の長さの下限が正値である)リーマン面のタイヒミュラー空間上に定義されるWP距離について一定の成果が得られた次第である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Lehner条件を満たすリーマン面のタイヒミュラー空間のWP距離の非完備性について, リーマン面が単位円板または1点穴あき円板と等角同値である場合は完備, それ以外は非完備となることが判明した. これは, Wolpertによる有限次元タイヒミュラー空間上のWP距離の非完備性の証明を一般次元へと拡張することにより達成された. 特に本質的な点として, リーマン面内の単純閉曲線で1点にポモトピックでなく, かつどのpunctureにも縮小しないようなものの存在が挙げられる. 現在は研究成果を学術論文にまとめているが, 昨今のコロナウイルスによる授業対策に時間が割かれており進捗は芳しいとは言えない状況である. また, 前年度の課題は前年度と同じ状況で未だに解決の方針が立っていない状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは可能な限り早急に得られた成果を学術論文にまとめ, 学術誌への論文掲載に努める. また, 成果を日本数学会主催の研究集会などで幅広く発表する. それらの研究活動と並行して, 前年度の課題の解決に努める. 本課題に関連する論文や参考書を参照し現在の問題への打開策を考察する.
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Causes of Carryover |
2020年3月に出張を予定していたいくつかの研究集会がコロナウイルスの影響により中止となってしまったため当該助成金の次年度使用額が発生した. 多大な金額ではないため, 次年度では物品費あるいは旅費の一部に合算して使用する予定である.
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Research Products
(1 results)