2018 Fiscal Year Research-status Report
On the classification of quasitoric manifolds
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18K13414
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
蓮井 翔 筑波大学, 数理物質系, 助教 (50792454)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 擬トーリック多様体の分類 |
Outline of Annual Research Achievements |
応募時の研究計画調書において、私は(I)コホモロジー環からホモトピー型(特に安定ホモトピー型)に関する情報を取り出す方法の確立、および(II)特性対から同相型に関する情報を直接取り出す方法の確立という2つの方針を述べた。以下の記述もこれに則る。 まず方針(I)については、まだ具体的な成果にはつながっていないものの、Steenrod作用素等の単純な道具では捉えられない接着写像の扱いに向けて、具体的な計算を通じて準備を行った。以前より私が行なっていた擬トーリック多様体の安定ホモトピー型に関する研究は、ひとつにはそうした写像に関する知識の不足によって滞っていた面があり、次の段階へのステップとしてこうした準備は必須のものであった。 方針(II)については、こちらもまだ論文として発表する段階には至っていないが、同相型に関する研究の前段階として、ホモトピー同値のレベルにおいて今後の基礎となる成果が得られつつある。より具体的にいえば、研究計画調書の「本研究の着想に至った経緯」の項で枡田幹也氏、Seonjeong Park氏、鍬田英也氏らと行なった共同研究(n次元立方体から1頂点を切り取って得られる凸多面体上でのトーリック多様体の分類)を挙げたが、分類の基準をホモトピー同値に緩めたとき、この共同研究において得られた結果がより一般の凸多面体上の擬トーリック多様体について成り立つということを証明する道筋が見えてきた。同調書において、私はこの方針での第一の目標を「P(底多面体)が単体に同型な断面Sをもつような場合一般に、連結和の議論を拡張すること」としたが、この結果はそうした目標への重要な足がかりとなるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来の予定であれば、方針(II)について、一年目で同相レベルでの成果をある程度出すつもりであった。しかし計画当時には想定していなかった大きな環境変化(筑波大学への就職とそれに伴う長距離の引越、授業計画の練り直し等)によって思いの外研究への集中が削がれ、また体調の不良も重なったため、現状は未だその一つ前の段階に留まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
方針(I)については、既存の実K理論に関する計算を参考にしつつ、擬トーリック多様体の安定ホモトピー型のより詳細な分析を試みる。また、これと並行して複素有向コホモロジー論の利用に向けた準備を進める。 方針(II)については、まず先述のホモトピー同値レベルでの結果を以前の分類結果と突き合わせ、同相レベルでの研究についての見通しを立てる。その後、まずはもっとも単純な状況(凸多面体の1頂点切除の場合)においてまとまった成果を出し、論文として発表することを目指す。
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Causes of Carryover |
予定していた研究集会の中で参加を取り止めたものがあったため。 未使用額は京都大学で行われる予定の研究打ち合わせに伴う交通費および宿泊費に充てる。
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Research Products
(6 results)