2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of statistical mechanical models evolving in random media
Project/Area Number |
18K13423
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中島 誠 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 准教授 (60635902)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ランダム媒質中のディレクティドポリマー / ピニング模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
ランダム媒質中のディレクティドポリマーと呼ばれる統計力学模型について研究を行った. この統計力学模型には分配関数の極限の非自明, 自明による相転移と自由エネルギーの非自明, 自明による相転移の2種類の相転移の定義が与えられている. 現在では空間がユークリッド空間(格子グラフ)のときそれらの相転移で生じる相は一致するという予想が与えられているが未解決である. また臨界点の一致も未解決問題として挙げられている. 以前から行っていた研究からこれらの相転移はあるランダム媒質中のピニング模型を用いて記述できることがわかっている. 2018年度はこのランダム媒質中のピニング模型に重点をおいて研究を行った. もっとも標準的なピニング模型は可解模型と呼ばれており, 相転移現象が非常に厳密に解析されている. 一方で今回扱う模型は最も簡単な表現を用いても2種類のランダム媒質を持つことになりその解析は可解模型とは異なり非常に複雑である. 2018年度はこのランダムピニング模型の相転移現象を解析した. 一般に高次元空間(4次以上)における標準的なピニング模型を考えたとき, その自由エネルギーと呼ばれる物理量は臨界点付近で1次のオーダーで立ち上がることが知られている. しかしランダム媒質, 特に不純物を表す確率変数が正規分布に従うような模型を考えたときその自由エネルギーの臨界点近傍での立ち上がりは高々2次のオーダーになることがわかった. これは媒質の影響が反映されているものである.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたようにランダムピニング模型に関して新たな結果が得られたことは予定通りである.
|
Strategy for Future Research Activity |
上で述べたようにランダムピニング模型に対して自由エネルギーの臨界点近傍での挙動の上からの評価を得られたことは非常に重要である. しかし高次元ランダム媒質中のディレクティドポリマーの自由エネルギーの臨界点近傍での挙動を知るためには下からの評価を与えることが必要であるのでそちらの方を進めていく. また2次元の場合の挙動も重要な問題が残っている. そちらの方はGaussian multiplicative chaosで開発された手法を参考にして研究を行っていく.
|
Causes of Carryover |
年度末に開催した研究集会で講演者に旅費として予定であったが, こちらの想定していたよりも講演者で旅費援助を希望するものが少なかったため使用額が予定額を下回り, 次年度使用額が生じた. 2019年度も海外へ研究のために渡航する予定であるために旅費として使用する. また確率論セミナーを主催しているため講演者の旅費にも充てる予定である.
|
Research Products
(3 results)