2021 Fiscal Year Research-status Report
On trace of Brownian motion and related models from statistical physics
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18K13425
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白石 大典 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (00647323)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ランダムウォーク |
Outline of Annual Research Achievements |
北京大学のXinyi Li氏との共同研究において、3次元ループ除去ランダムウォークのスケール極限のヘルダー連続性についてシャープな評価を与えた。具体的には3次元ループ除去ランダムウォークの成長指数の逆数を境目にヘルダー連続性及び不連続性の描像が変わることを証明した。その際に、「ループ除去ランダムウォークが異常にスピードアップする」という事象をうまく導入し、なおかつその事象の確率の下からの評価を与えなければならなかった。そこで構築した技術は今後研究を進める上で役に立つと思われる。この結果をまとめた論文は投稿済みであり、現在査読中である。また、京都大学数理解析研究所のDavid Croydon氏との共同研究において、4次元単純ランダムウォークの軌跡上のランダムウォークのスケール極限の存在を証明した。その際、単純ランダムウォークの軌跡の構造を反映する、カットポイントやグラフ距離及び有効抵抗に対する評価が必要となる。臨界次元である4次元の場合は、これらの量の漸近挙動を記述する際に対数項が現れる。本研究において、現れる対数項の非常に詳細な漸近挙動を与えることに成功した。この結果をまとめた論文は、雑誌「Annales de l'Institut Henri Poincare, Probabilites et Statistiques」にacceptされた。これらの結果を広く周知するために、研究集会やセミナーにおいて口頭発表を行った。講演後の議論において得られた知見は今後の研究に役立つものと期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
京都大学数理解析研究所のDavid Croydon氏との共同研究における結果は、5次元以上の場合はすでに証明されていたのであるが、臨界次元である4次元の場合は、スケーリングファクターに現れる対数項の扱いが困難であるため、未解決のままであった。ところがそのような対数項を丁寧に評価することにより、問題を解決し、確率論の一流ジャーナルに掲載決定したことは意味があるといえる。また、北京大学のXinyi Li氏との共同研究に関しても、既に好意的なreferee reportを得ている。こちらの方の研究も順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当該分野に残された最大の課題の一つである、3次元ループ除去ランダムウォークのスケール極限の特徴付けの問題解決に向かって動き出している。現在想定している話の流れが全てうまくいけば解決に至ると信じているが、幾つもの難所があるため、一つ一つのステップを着実に処理していく必要がある。まずは3次元一様全域木に対する、あるMarkov dynamicsの解析が行えるように、場を整えるところから始める。
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Causes of Carryover |
当該年度では、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、予定していた海外出張が全く行えなかったので次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としては、当初予定していた海外出張を行うことにより使用する。
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Research Products
(2 results)