2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13429
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
阿部 圭宏 千葉大学, 大学院理学研究院, 講師 (50814109)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 被覆時間 / 2次元離散トーラス / 離散ガウス自由場 / 局所時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元離散トーラス上を動く単純ランダムウォークの被覆時間を第2次オーダー項まで精密に評価した論文``Second-Order Term of Cover Time for Planar Simple Random Walk"のオンライン版が学術誌``Journal of theoretical probability"に公開された. この研究はBelius-Kistler(2017)が2次元トーラス上のブラウン運動に対して行った被覆時間の精密評価の離散版とみれる. しかし, Belius-Kistler(2017)の結果から本研究成果が得られるわけではなく, 離散特有の誤差評価など技術的に困難な点を解決し, 本成果を得た. 本研究は,広くみれば対数相関をもつランダム場の極大値の研究のひとつであり, ランダム場がガウス分布でない場合の重要な例である. 被覆時間のより詳細な性質の解明は当該分野では大きな課題のひとつであるが, 今後, 被覆時間の法則収束や極値統計の解析を進めていく上で本研究がその第1歩になるだろうと期待している. 前年度に引き続き, Marek Biskup氏とSangchul Lee氏と共同で, 2次元離散トーラス上を動く単純ランダムウオークが頻繁に訪問する点, 全く訪問しない点などの統計的性質を詳しく調べる研究を行った. 特殊な境界条件をもつ場合には同様の研究を行い, 既に結果は出ているが, トーラスのような周期境界条件をもつ場合は, 技術的に困難な点が多く, 密接に関係する離散ガウス自由場の極大値を解析するなどして, 今後も引き続き本研究を継続する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2次元離散トーラス上を動く単純ランダムウォークの局所時間の極値統計の研究は当初予期していたよりも技術的に解決すべき点が多く, 引き続き今後も継続が必要な状況であるので. また, 新型コロナウイルスの影響で海外出張ができず, 共同研究者と十分な研究議論を行う機会をつくれなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き, 2次元離散トーラス上を動く単純ランダムウォークの局所時間の極値統計について研究を進めていく. この研究はトーラス上の離散ガウス自由場の極大値統計の研究と密接に関係するため, まずは扱いやすい離散ガウス自由場に対して極大値統計を調べ, その結果をランダムウォークの極値統計の結果につなげる方法を模索する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で出張を伴うような研究集会は全く開かれず, 国内・海外ともに出張することができず, 主な使用目的である旅費として全く使えなかったため.
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