2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13432
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
久保 利久 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (90647637)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 極小表現 / 絡微分作用素 / 微分対称性破れ作用素 / 補系列表現 / 超幾何多項式 / 特殊関数 / 直交多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は「微分対称性破れ作用素を用いた補系列表現の具体的埋め込み」および「絡微分作用素の解空間に構成された極小表現のユニタリ内積の具体的構成」という2つの問題から成り立っている.当初,前者から始める予定であったが,後者の研究に関して研究連絡を行っているオーフス大学(デンマーク)のOrsted教授の元を二ヶ月以上訪ねる機会に恵まれたため,予定を変更し後者から始めることとした.
研究実績としてはSL(3,R)の場合に大分研究が進んだことが挙げられる.本研究では3つの極小表現のユニタリ内積の構成を考えているが,これはその内の2つについて研究が進展したことを意味する.「Torasso表現」と呼ばれる最後の1つの表現に関してはSL(3,R)の二重被覆群を考える必要があり,このケースについて引き続き研究を続けていく.
また本研究で用いる絡微分作用素は以前Orsted氏との共同研究で構成したそれであるが,これはKable氏が近年構成した「Heisenberg ultrahyperbolic operator」と呼ばれる1パラメータ族の微分作用素D(s)のうちのA_2型のもので、特にs=0の場合になっている.Kable氏からs=0の場合だけでなくsが一般の場合を考えてはどうか,と助言をいただき、その解空間を考えてみたところ,「Heunの微分方程式」との思いがけない関係性が得られた.当初の計画には入れていなかったが,「絡微分作用素の解空間」と「直交多項式・特殊関数」の関係性を考える上で重要であると思われるため,ユニタリ内積の構成に加えてこちらの方向でも研究を進めていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書で書いた計画とは取り組む課題の順序が逆になったが,「研究実績の概要」で述べたように3つの極小表現のうち2つについてユニタリ内積の研究が大きく進んだこと,またA_2型のHeisenberg ultrahyperbolic operatorの解空間とHeunの微分方程式の間に新しい関係性が得られたことから,当該年度において本研究はおおむね順調に進展したと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまずA_2型のHeisenberg ultrahyperbolic operator D(s)の解空間とHeunの微分方程式との関係について研究を進展させ,まとめる予定である.その後D(s)の解空間を詳しく調べていく.
これと並行して「微分対称性破れ作用素」に関する研究について,その方面の研究者の方を訪ねる,またはその研究者の方を大学に招くなどして研究を進めるよう努める予定である.
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Causes of Carryover |
共同研究者であるOrsted氏を訪ねる際に氏から旅費を支払っていただけたため,次年度使用額が生じた.次年度も出張を数多く予定していることからその出張旅費に充てる予定である.
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