2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K13432
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
久保 利久 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (90647637)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 絡微分作用素 / 超幾何多項式 / Huen多項式 / K-type formula / tridiagonal determinant / Cayley continuant / palindromic property / factorial property |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、共同研究者のOrsted氏と共に「A2型のHeisenberg ultrahyperbolic equation」(A2型のKable作用素)の解空間のKタイプ構造、およびそこから生じる多項式列について研究を行なった。本研究は元々Kタイプ構造を決定することを目的に始めたものであったが、その過程で「palindromic property」、「factorial property」といった多項式列に関する新しい性質を発見することができた。
Kタイプ構造の研究においては、今回の研究によりそのKタイプ構造を完全に決定することができた。これはA2型において先行研究であるKable氏の結果をより発展させる形で完全に終わらせたことを意味する。さらにKタイプ構造からの対称性を用いて上記の性質を満たす多項式列を構成することにも成功した。
「A2型のHeisenberg ultrahyperbolic equation」のKタイプ構造から得られた多項式列の他に、Cayley continuantと呼ばれる多項式列も上記の性質を満たすことを発見した。Cayley continuantとは1857年にCayleyがSylvester determinantの因数分解公式に触発されて考案したものであるが、今回我々が発見した性質はSylvester determinantの零点においてCayley continuantが「特殊値」を持つというものである。1854年にSylvesterがSylvester determinantに関する論文を発表してから関連する研究は数多く行われてきたが、我々の発見した性質はその考案から160年以上かけて初めて発見されたものであると思われる。なお、本研究結果はすでに一つの論文としてまとめており、現在論文雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記【研究実績の概要】で述べたように「A2型のHeisenberg ultrahyperbolic equation」の研究を一つの論文としてまとめることが出来たことから、進捗状況は概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究によって「A2型のHeisenberg ultraphyperbolic equation」の解空間におけるKタイプ構造を完全に決定した。今後は一般の場合である「An型のHeisenberg ultraphyperbolic equation」の研究に取り組みたいと考えている。ランクが一般の場合は計算がより複雑になることが予想されるため、このケースに取り組む前にいくつか簡単なケースを注意深く考察し、その後一般の場合に取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、新型コロナウィルス感染拡大に伴い当初計画していた出張が全て中止になったことが原因である。
今後の使用計画については、まず新型コロナウィルス感染収束後の国内出張が挙げられる。本年度中に海外出張を行うことはほぼ不可能と考えているが、国内出張については場合によっては可能になるのではないかと考えている。現時点でいつ頃、国内出張が可能なほどに新型コロナウィルス感染が落ち着くかを予測することは困難であるが、可能になり次第、国内の研究者の元を訪れ本研究に関する議論を交わしていきたい。また本研究を遂行していく過程において、MapleやMathematicaなどの数式処理システムの活用が有用であることが判明した。本研究課題申請時には予定していなかった数式処理システムの購入にも充てたいと考えている。
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