2020 Fiscal Year Research-status Report
準線形偏微分方程式とその自由境界問題に対する粘性解理論及びその応用
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18K13436
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
小杉 卓裕 公立鳥取環境大学, 人間形成教育センター, 講師 (80816215)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 粘性解 / 藤田型方程式 / 完全非線形方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
全空間上において最も典型的なweakly coupledの藤田型方程式系の非発散型版に対して藤田指数を考察した.藤田指数は時間大域解が存在しうる非線形項の臨界指数である.本研究では時間大域解が存在する指数の十分条件を示した.考えている方程式は完全非線形も含む非発散型であるため,解は粘性解の意味で考えている.従って,通常の藤田型方程式を考える際にしばしば用いられる明示的に表記される熱核や部分積分を用いることができず,解析手段が限られている.本研究ではまず時間局所解の存在を示した.ここでは,通常の藤田型方程式の時間局所解を示す方法と同様に不動点定理を用いている.ただし,不動点定理で示すのはPucci方程式の解の時間局所解であり,それを本来考えている方程式の劣解,優解としてPerronの方法により解の存在を示している.また,不動点定理を用いるのは単独の方程式の研究で用いられた方法を踏襲しているのであるが,不動点定理を用いずとも粘性解従来の方法でも時間局所解の存在を示せることも確認した.また,自己相似解を探す際に現れる固有値問題を考える.固有値は主要部から決まる解の時間に関する減衰レートを表し,それと対応する常微分方程式系の解の爆発レートと比較することで時間大域解が存在するための十分条件を示した.本問題では単独の方程式では用いる必要がなかった固有値問題の固有函数を時間大域解を示す際の評価で用いている.また,本問題は主要部が完全非線形でかつ別の形をしている方程式系を含んで考えており,本質的に線形の非発散型を含むような従来の研究対象の方程式では現れない形として指数の条件式がでてくる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により研究協力者と意見交換する機会が限られてしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
平均場ゲーム理論は株式市場などで多くの人が最大限の利益をあげようとしたときに起こる現象の研究で,数学では確率論や最適制御理論,ナッシュ均衡等ゲーム理論から定式化される偏微分方程式系を研究対象とする.また,障害物問題は例えば「株式をこの値段になったら売る」ことを考慮した問題から現れ,平均場ゲームにおける障害物問題も最適制御によって適当な意味付けがなされる.しかし,数学的には障害物問題の「本当の解」の存在は期待できないため粘性解を考える必要があり,特に粘性解の特徴を考察するためには近似方程式を考える必要がある.この近似方程式の解の評価及び,もとの平均場ゲームの障害物問題の解に収束する際の収束率を考察する.その際に非線形随伴法の適用可能性を考える. 時間発展準線形方程式や藤田型方程式と爆発を起こす由来が全く異なるハミルトン・ヤコビ方程式との方程式系に対する藤田指数の決定を目指す.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により出張する機会が限られたため未使用額が生じた. 一方,コンピュータ等の物品の購入を控えているため未使用額に関しては使用時期が少しずれたと捉えている.
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