2021 Fiscal Year Research-status Report
準線形偏微分方程式とその自由境界問題に対する粘性解理論及びその応用
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18K13436
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
小杉 卓裕 公立鳥取環境大学, 人間形成教育センター, 講師 (80816215)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 粘性解 / 完全非線形方程式 / 藤田型方程式 / 時間大域解 |
Outline of Annual Research Achievements |
よく知られている藤田型方程式を完全非線形版にした方程式について,全空間上で典型的なweak coupledで方程式系に拡張し,その時間大域解の存在性について考察した.昨年度の段階である程度の結論が得られていたが,一部間違いがあり修正を行った.時間大域的な優解の存在を示せれば比較原理とPerronの方法により時間大域的な粘性解の存在が示せるため,時間大域的な優解の構成およびそのときの条件を導いた. より具体的には,自己相似解を見つける際に考える固有値問題の固有値と固有関数から時間大域的な優解を構成した.この際,完全非線形楕円型方程式の正則性も利用している. 線形の場合この固有値問題の固有値は空間次元の1/2倍であるが,完全非線形の場合は真に空間次元の1/2倍と異なる場合があり,従って固有関数も線形の場合とは異なる.本方程式系は異なる完全非線形作用素でのシステムを考えたため,それぞれの方程式に対応する固有値問題の固有関数が異なる.このことから,優解を構成する際に単独方程式や線形方程式におけるシステムでは現れない計算過程が必要になり,そこをクリアするための十分条件として,線形の場合では現れない,完全非線形作用素の楕円定数と非線形項の指数に関する不等式が現れた.この新しく現れた条件式が本質的に必要かどうかは未解決である. 本問題は準線形方程式を含む形にする前段階の研究であり,証明途中で正則性も必要となる.準線形方程式で考える場合はその点もクリアする必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回得られた内容は準線形方程式を含む完全非線形方程式への拡張を念頭に始めており,また,証明途中で正則性も必要となることから準線形方程式の正則性やその応用問題の足がかりとなる.また一方で,準線形方程式を含む形への一般化を念頭に,平均場ゲームの解の評価について研究を行っており,研究課題についてある程度進捗があると考えている. しかし,コロナ禍で出張制限がかかることが多くあり,なかなか共同研究者と満足に研究討論が行えておらず進捗具合は少し遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
準線形方程式への拡張および自由境界問題への拡張を念頭に,平均場ゲームや,完全非線形藤田型方程式,機械学習への粘性解理論の応用を考えていく. 平均場ゲームに関しては,解のアプリオリ評価や不動点定理を用いて解の存在,また一意性を示すことを第1目標とし,それを基にその自由境界問題の近似解の解の評価を行っていく. 完全非線形藤田型方程式に関しては,2階の方程式と1階の方程式のシステムに対する藤田指数や単独方程式で準線形方程式を含む形での完全非線形藤田型方程式の藤田指数の導出,また有界領域についても考えていく. また,PageRankアルゴリズムにおいてwebページが無数に増えるとグラフの方程式から通常の連続な偏微分方程式が導出されることが知られており,その際の解の特徴付は粘性解で行っているものがある.これは途中でグラフの方程式に対する最大値原理を用いており,最大値原理と粘性解の相性が良いからだと考えられる.今後,準線形方程式の導出や,ABP最大値原理などグラフの方程式の解に対する粘性解的な評価を考察したい.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため出張が行えず,また参加予定であった研究集会も開催されないなどがあった.コロナ禍での制限が緩くなってきているため,基本的には出張費および専門書の購入費に充てる.
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Research Products
(3 results)