2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of resonant effects and geometric symmetry on nonlinear dispersive equations
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18K13442
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
加藤 孝盛 佐賀大学, 理工学部, 講師 (50620639)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非線形分散型方程式 / 初期値問題 / 適切性 / 無条件一意性 / 可積分系 |
Outline of Annual Research Achievements |
1次元トーラスにおける5次KdV型方程式の初期値問題を考察し、解が超関数として意味づけできる臨界のクラスにおいて、その適切性と無条件一意性を示した。この結果を論文としてまとめ、学術雑誌に投稿した。当初は線形化方程式の摂動としてみなせない最も特異性の強い非線形相互作用である共鳴部分を相殺するためには、無限個の保存則を持つという可積分系特有の構造が必要になると予想していた。しかし実際には、解の積分平均が保存することのみを用いれば、この相殺を実現することができることは分かり、取り扱う方程式を発散形式となるものに一般化することができた。これにより、水面波方程式の近似モデルとして導出される方程式を取り扱うことが可能となった。一方で、当初は予想していなかったが、非線形項に対し、系統的な評価を構築できないことが問題となった。具体的には、非共鳴部分であっても複数個の微分が含まれているため、通常のフーリエ制限法が機能しない。そのため、normal form法を複数回繰り返すことで微分の損失を回復するが、それにより現れる非線形項を系統的には扱えず、個別に評価することが必要になる。このため、数多の場合分けが必要になり、計算を完了するのに時間を要した。ただし、非線形評価で用いた道具は方程式には依存しない初等的な不等式だけであり、汎用性には期待ができる。実際に、基本的には同じ方針により、1次元トーラス上の5次修正KdV型方程式と3次Benjamin-Ono型方程式に対し、エネルギー空間における時間大域的適切性と無条件一意性を示すことができ、現在これらの結果を論文としてまとめている。
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