2023 Fiscal Year Annual Research Report
Reserach on dynamical systems and fluid mechanics in terms of applied analysis
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18K13443
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
曽我 幸平 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (80620559)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非圧縮性粘性流体 / Navier-Stokes方程式 / Kazhikhov-Smagulovモデル / Leray-Hopfの弱解 / 最小作用の原理 / 弱KAM理論 / Hamilton-Jacobi方程式 / 粘性解 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の研究では、計算機流体力学で提案されたある1階完全非線型偏微分方程式の粘性解の局所正則性に関する数学解析に取り組んだ。二相流体の自由境界を等高面関数のゼロ等高面として追跡する方法において、線形輸送方程式は等高面関数の支配方程式として良く知られている。等高面関数の微分のノルムをゼロ等高面近傍において安定化させるために、元々のゼロ等高面を変えないような非線型項を線形輸送方程式に加える方法が知られている。このようにして現れた非線型偏微分方程式の初期値境界値問題の粘性解クラスにおける適切性を示すことに成功したが、さらに粘性解のゼロ等高面近傍における滑らかさを示す問題が残っていた。この問題に対して、doubling the number of variablesと呼ばれる粘性解に対する比較原理を証明する論法を応用した新しい方法を開発し、連続な粘性解はゼロ等高面近傍において2回連続的偏微分可能であることを示した。二相流体問題では法線ベクトル場や平均曲率場の情報が必須であり、これらは等高面関数の二階までの導関数を用いて表示可能である。この理由から、粘性解の局所的な正則性の結果は応用上重要である。
研究期間全体を通しては、流体力学と古典力学に関係する諸問題について応用解析的視点で取り組んだ。上述の成果の他に、非圧縮性粘性流体の弱解に対する差分法の収束証明に関する成果、拡散を伴う混合流体のモデルに対する時間大域的弱解の存在証明に関する成果、線形輸送方程式のDiperna-Lions弱解に対する差分法の収束証明に関する成果、作用汎関数を最小化するランダムウォークの双曲型スケール極限と弱KAM理論に関する成果、Tonelliの変分法に対する初等的な別証明に関する成果などが得られた。
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