2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K13444
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戍亥 隆恭 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (70814648)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非線形消散型波動方程式 / 非時間遅れ極限 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱方程式は、熱流束が温度勾配に比例するという、いわゆるFourierの法則を用いて導出される。この法則によって、熱方程式を用いることで熱の伝わる様子がよく表現できることが知られている。さらにこの方程式は無限伝播性という性質(熱が瞬時に無限大まで伝播する性質)を持っていることが知られている。一方で、液体ヘリウムや極低温個体ヘリウムなどにおいては、熱伝導が波のように有限伝播する(第2音波と呼ばれる)ことが知られており、上記の熱方程式ではうまく表現できない。この第2音波は、Fourierの法則の代わりに、時間遅れの効果を取り入れたCattaneoの法則を用いる事で得られる消散型波動方程式によって表現されている。これら二つの方程式を見比べると、熱方程式は時間1階微分を含む方程式であるのに対し、消散型波動は時間2階微分の方程式であり、時間遅れをゼロにする極限は特異極限となっている。本研究では、時間遅れをゼロにする極限が特異極限であるにもかかわらず、非線形消散型波動方程式の解が非線形熱方程式の解に時間局所的に収束することを数学的に証明し、両者が数学的にも結びついていることを示した。更に熱、消散型波動がともに消散効果を持つことから、解が減衰する場合には、時間大域的にも収束することを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出張を伴う議論を行えないため、計画に記載した手法を用いての研究は行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
オンラインを用いての議論を行なっているが、対面での議論ほどの効果は得られていない。今後は、密な議論を行えるように、オンラインでの議論を増やしていく必要があると考えている。
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Causes of Carryover |
出張を伴う対面での共同研究を行うことができず、研究活動が制限されたため。また年度途中より別資金により海外へと出張したため。
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