2021 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the thoery of elliptic operators with unbounded coefficients and applications
Project/Area Number |
18K13445
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
側島 基宏 東京理科大学, 理工学部数学科, 講師 (20760367)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 非有界な係数をもつ楕円型作用素 / 消散型波動方程式 / 高次漸近展開 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、主に非有界な係数をもつ楕円型作用素が生成する半群を漸近形にもつ消散型波動方程式の解析を行った。 昨年度から池畠良氏(広島大学)との共同研究で扱っている消散型波動方程式の特異極限問題は、Kisinskiによるスペクトル分解を用いた方法(1963)に改めてエネルギー法による解釈を与えたものであり、昨年度導入した「高次漸近展開の導出法」を用いて既存の方法とは別のアプローチを与えている。本研究の主軸から外れるものの、その後の研究の着眼点として役立っている。 上記の方法を、空間について-1次のべきをもつ消散項をもつ波動方程式のアプローチに利用し、スケール臨界な空間依存の摩擦をもつ波動方程式の非線形問題を扱った。ここでの成果は、2013年にIkehata-Torodova-Yorodanovによって得られた線形問題のエネルギー評価の精密化である。この証明には、非有界な楕円型作用素に関するレゾルベント問題、生成される半群の減衰評価、双曲型方程式のエネルギー法を組み合わせて成り立っている。 また昨年度導入した「高次漸近展開の導出法」を、時間依存の摩擦項をもつ波動方程式の場合に拡張した。漸近形が満たす方程式を逐次的に導出していく過程で、展開の次数に応じて漸近形が満たす発展方程式の主要項自体が変化していくことを突き止めた。 ほかにも、上記の「非線形問題の解析法」を修正して空間依存の摩擦項を持つ波動方程式の漸近形をエネルギー解に対して適用し、正則性の低い解に対する漸近形の導出法も構築していて、現在論文原稿を作成中である。
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