2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K13447
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
佐々木 多希子 武蔵野大学, 工学部, 講師 (30780150)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 半線形波動方程式系 / 爆発境界 / 初期値問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
時間発展する偏微分方程式において解が爆発するとき、時空間中に特異点が形成されるわけだが波動方程式の場合、特異点集合は時空間中に曲線や曲面を形成する。この曲線や曲面を爆発境界と呼ぶ。本研究では空間を1次元に限定し、特異点集合の詳細を調べるものである。爆発境界の結果のほとんどは単独の方程式に対するものであり、システム、特に異なる伝播速度を持つ波動方程式系の爆発境界に対する結果はほとんど存在しない。異なる伝播速度を持つ半線形波動方程式系の爆発境界が微分不可能であるとき、微分不可能な点の近傍での爆発境界の性質に対しある予想を与え、その一部を証明することができたのが今年度の主要実績である。以下に詳細を述べる。 異なる伝播速度を持つ半線形波動方程式系の爆発境界は、2009年にH. Uesakaによりリプシッツ連続性が示されていたが、その他に結果は存在しなかった。特に爆発境界が微分不可能になる場合、微分不可能な点で爆発境界の性質は分かっていなかった。多くの単独の波動方程式では、微分不可能な点での爆発境界の性質は、伝播速度に依存することが知られている。しかし、伝播速度が異なる波動方程式系の場合、微分不可能な点での爆発境界の性質が伝播速度に依存するにしても、どの速度に依存するのか、またそれは何によるものなのかが分かっていなかった。 今回、ある異なる伝播速度を持つ半線形波動方程式系に対し、初期条件を奇関数に制限し、さらにいくつかの仮定を課すと、微分不可能な点を持つ爆発境界が存在し、微分不可能な点付近での爆発境界の性質は一番大きい伝播速度に依存することを明らかにした。 その他の研究として、combined effectと呼ばれる二つの非線形項の和が作る効果があらわれる空間1次元半線形波動方程式においてライフスパンの評価を行った(東北大学 高村博之氏、森澤功暁氏との共同研究)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内外での研究打ち合わせや発表が制限されてしまった。 一方で、ライフスパンの研究を始め、爆発時間付近での解について爆発境界の先行研究にはあらわれない評価を得た。爆発境界の解析には様々な解の評価が必要となるが、ライフスパンの評価と現在得られている爆発境界の評価を合わせることで、より詳細な爆発境界や爆発境界付近での解の解析が可能となりうる。また、いくつかの論文を準備中である。以上の理由から、おおむね順調であるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
空間1次元の非線形波動方程式に対し、非線形項をできる限り一般化した爆発境界の傾きの一般論の構築を目指す。今までに得られた結果は、個別の非線形項に限定した結果である。解析手法は非線形項によって差はあるものの、爆発境界が微分不可能な点付近での爆発境界の性質は伝播速度に依存したものである。この結果が特定の非線形項を持つ波動方程式にのみ成り立つ特殊なものなのか、解が爆発する非線形項を持つ波動方程式全体に拡張できるのか考察する。 また、爆発境界の数値解法の収束性の証明を行う。爆発境界が微分可能な場合は、一部の波動方程式に対し、収束性を有する爆発境界の数値解法が提案されているが、爆発境界が微分不可能な点を含む場合、数値解法の収束性は証明されていない。収束性の証明が困難な場合は、数値解法を微分不可能な点に近い部分で修正し、収束性の証明を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内外での研究発表や研究打ち合わせに制限がかかり、ほとんど参加することができず、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、国内外の出張の制限が緩和されるので、研究発表や研究打ち合わせ、およびオンラインによる研究発表や研究打ち合わせに必要な機材の購入に用いる。
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