2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13449
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
古谷 倫貴 北里大学, 一般教育部, 准教授 (40711792)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グラフ理論 / 禁止部分グラフ / ラムゼー型問題 / 道被覆数 / Gyarfas-Sumner予想 / 次数制約木 |
Outline of Annual Research Achievements |
禁止グラフ条件によって生成されるグラフクラスの比較を行うために,前年度に引き続いて不変量版ラムゼー型問題の研究を進めた.本年度はそれに加えて,次数制約木の禁止グラフ条件に関する研究も実施した. ラムゼー型問題については,昨年度に行った誘導星道被覆数の研究が完結した.その結果として,同不変量に関するラムゼー型問題を解くことに成功している.この不変量は彩色数の連結版類似と見なすことができ,彩色数のラムゼー型問題はGyarfas-Sumner予想として有名な未解決問題である.したがって,本研究で与えた成果はGyarfas-Sumner予想に不変量的に近しい問題の解決を与えたと言える. 次数制約木としては全域既約木に関連した問題に着手した.全域既約木を持つための禁止グラフ条件は2013年に完全決定されている.一方で証明手法が進展したことにより,全域既約木の構成の際に,次数2の頂点が(個数・独立性などの意味で)制約された全域木の存在性が重要であることが判明した.そこで本研究では,有用な次数2の頂点の制約を再整理し,それぞれの強弱関係と禁止グラフ条件の振る舞いの研究を開始した.実際には,全域木において次数2の頂点で誘導されるグラフの連結成分の大きさや,次数2の頂点の個数に関して4つの問題を提唱し,それぞれの禁止グラフ条件として必要な構造の列挙を行った.それらの十分性の証明はまだ完成していないものの,それらの有用な使用方法の確立には成功している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対面での研究集会や研究打合せが再開されたことにより,滞っていた議論を進めることができた.特に,Gyarfas-Sumner予想に関連した問題の解決が完了したことから,その周辺問題への再考察に繋げることができた.また,次数制約木の問題において,新たな課題とその方針が定まったことも本研究の大きな進展と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍による研究の不消化を理由として,本研究は期間を再延長することになった. 今後は不変量版ラムゼー型問題と禁止グラフ条件の比較という2つの方向から更なる進展を目指していく. 不変量版ラムゼー型問題については,誘導星道被覆数と彩色数を比較し,禁止グラフ条件的に差異が生じる本質的な原因の追究と解消方法を模索する.特に,それらの間に位置する不変量がどちらに近いかを判断する指標の確立と,そのラムゼー型問題の関係性を測る. 禁止グラフ条件の比較としては,次数制約木を中心にとして議論を進める予定である.同問題は明確な強弱関係のある条件を課していることから,その差と禁止グラフの関係性が判断しやすいと考えられる.したがって本研究の最大の目標である禁止グラフ条件の差の本質的な解明に繋がるものである.
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Causes of Carryover |
2022年度は延期されていた研究打合せなどを行うことができたが,コロナ禍での研究の遅れを取り戻すには至っておらず,それに伴って次年度使用額が生じた.次年度の予算は,書籍などの最新の研究資料の購入と,研究打合せなどに伴う旅費に充てる.
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Research Products
(8 results)