2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K13450
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
藤原 誠 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員(客員研究員) (20779095)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 計算可能数学 / 構成的逆数学 / 逆数学 / 直観主義算術 / 存在定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の2つの研究成果が得られた. 1. 昨年度の研究により,計算可能数学における存在定理の間の相対的一様計算可能性を,構成性の観点から古典論理を制限した弱い論理に基づいた有限型算術における相対的証明可能性を用いて部分的に特徴付けることができていた.本年度は,計算可能数学と構成的逆数学のそれぞれの文脈で既に調べられている存在定理をサンプルとして,昨年度示したメタ定理が計算可能数学や構成的逆数学の具体的な結果に対してどの程度適用可能であるかを検証した.具体的には,計算可能数学や構成的逆数学における弱ケーニヒの補題とその変種,無限グラフ理論における結婚定理,実解析学における中間値の定理らの関係性に関する結果を詳細に分析し,それらの結果のうちの大部分に対して自身のメタ定理が適用可能であること,一方でそれらの一部については適用可能ではないことが分かった. 2. 1の分析から生じた,計算可能数学や逆数学における存在定理の列版の相対的一様計算可能性と構成的証明可能性の関係についての問いに関しても同様の観点から解析した.その結果.列版の相対的一様計算可能性は可算選択公理を認める構成的証明可能性に対応することを裏付けるメタ定理を得た.また,計算可能数学及び構成的逆数学の双方の文脈における弱ケーニヒの補題と非構成的原理LLPOの同等性証明を有限型算術上で詳しく分析し,上記のメタ定理が非自明な変換を与えるものであることを実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計算可能数学における存在定理の間の相互一様計算可能性を構成的逆数学の文脈で理解するための一つの試金石を与えることができた. さらに,計算可能性数学や逆数学における存在定理の列版の一様計算可能性についても,構成的逆数学の文脈においてそれに対応する概念を特定することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
得られた研究成果を当該分野の研究コミュニティーに幅広く周知し,その中でさらなる発展の可能性を模索することが今後の主要課題となる. 「研究実績の概要」に記載した研究成果1の内容については,既に数学基礎論の国際論文誌Computabilityに投稿し,出版が受理されている.「研究実績の概要」に記載した研究成果2の内容についても既に論文としてまとめて数学基礎論の国際研究集会Computability in Europe 2020に投稿しており,2020年6月に行われる同研究集会において発表することが受理されている. 今後も計算可能数学や構成的数学の研究者が多く集う国際研究集会に参加してこれらの内容について講演を行い,本研究のさらなる発展の方向性を模索する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い,2020年3月に参加を予定していた学会,研究集会及び予定していた研究打ち合わせが中止又は延期となったため.
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