2018 Fiscal Year Research-status Report
Toward a radical extension of matroidal optimization theory
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18K13451
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
喜多 奈々緒 東京理科大学, 理工学部経営工学科, 助教 (10738082)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 離散数理 / グラフ理論 / マッチング理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は双向グラフの強連結分解を達成するべく,ラディアルの構造解明に取り組み,その構成的特徴付けを与えた.双向グラフとは有向グラフと符号グラフの共通の一般化である離散構造である.有向グラフの強連結構造については古くから簡潔明快な構造が明らかにされており,その理論は完成しているといえる.これに対し,符号グラフや双向グラフの強連結構造について明らかになっていることは非常に少なかった.一方で,マッチング理論における無向グラフのカテドラル標準分解は,特殊な符号グラフの強連結分解と解釈しうる.したがって,本研究では有向グラフの強連結分解とマッチングのカテドラル標準分解の共通の一般化によって双向グラフの強連結分解を与えることに取り組んだ.カテドラル標準分解では因子臨界グラフとよばれるグラフクラスとLovasz (1972) によるその構成的(帰納的)特徴付けが重要な役割を果たす.そこでまず因子臨界グラフの双向グラフへの一般化として,ラディアルの概念を導入し,この構成的特徴づけを与えた.これはLovasz (1972) の定理の一般化に相当する.この成果はマッチングの一般化である次数制約因子の理論への貢献を含む.また,マッチング特有のものとして知られていた構造を,マッチング理論の外へ拡張したことによって,マッチングが持つ計算量的性質の本質を抽出する取り組みに貢献するものである.この成果について,2018年度応用数学合同研究集会,および2018年度冬のLAシンポジウムにて口頭発表した. また,以前より投稿中であったDulmage-Mendlesohn 分解の一般化に関する論文が査読付き国際会議COCOON 2018 に採択され,これについて口頭発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画どおりの課題に取り組みまとまった成果を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,前年度に得たラディアルに関する成果を用いて,双向グラフの強連結分解の確立に取り組む.この過程において,マッチングの一般化として知られるb-マッチングのための標準分解理論を副産物として与える.そして,ここで明らかになった双向グラフの構造を観察することにより良い計算量的性質の中核にある特徴を考察する. また,一方でマッチング多面体の構造を知るために必要な,グラフの構造の解明にさらに取り組む.マッチング多面体の性質は,因子被覆グラフと呼ばれる特殊なクラスのグラフに関する性質へと帰着されることが知られている.因子被覆グラフの構造定理としては,Kotzig-Lovasz 分解,耳分解,およびタイトカット分解が有用であることが知られているが,これらよりさらに詳しい構造を知るためには,これらの既約クラスに対する非自明な構造定理が必要である.本研究では,これまでの成果を用いてこういった新しい構造定理を得ることに取り組む.
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Causes of Carryover |
購入予定であったパソコンの発注・納品が年度をまたぐ見込みであったので購入を次年度に見送った.今後予定通り当該のパソコンを購入する.
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