2022 Fiscal Year Research-status Report
受精ダイナミクスに潜む連続体の数理:実験データに基づいた理論的アプローチ
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18K13456
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石本 健太 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (00741141)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 流体力学 / 連続体力学 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の目標は、すでに得られている研究成果の公表であった。実際、昨年度までの成果として得られている結果の多くを学術雑誌の論文として公表することが出来た。 中でも奇弾性による記述を用いた、流体中を自己推進する物体に関するelastohydrodynamicsの統一的な遊泳公式を導出することに成功した論文[Ishimoto, Moreau and Yasuda, Phys Rev E (2022)105 (2022) 064603.]が出版され、Altmetricで上位5%のインパクトを挙げた。この論文内で発表した結果は、弾性論と流体の相互作用を記述する一般的な理論的枠組みとして、極めて広い適用範囲を有している。今年度の研究として、これらの枠組みを非線形領域への拡張と、大自由度の数値計算に取り組んだ。しかし、大自由度の奇弾性体は高波数の不安定性が生じるために、安定な数値計算の遂行が難しいことが分かった。そのため、昨年課題として挙げた「奇弾性による記述を用いた流体中を自己推進する物体に関するelastohydrodynamicsの統一的な遊泳公式」の実際の実験データとの照らし合わせは、途中段階にあり、今後の課題となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までの研究計画で掲げた3つの研究課題: (1) 多数の鞭毛顕微画像からの鞭毛波形の特徴づけ (2) 精子間の流体相互作用検証 (3) 弾性と流体の双方が含まれる鞭毛遊泳の理論解析 (4) 物体の対称性に基づいた一般的な枠組みの構築 (5) 奇弾性記述による流体構想連成問題の統一的な理論解析 は全て達成済みである。さらに、これまでの成果を論文公表することが出来た
一方で,昨年課題として挙げた「奇弾性による記述を用いた流体中を自己推進する物体に関するelastohydrodynamicsの統一的な遊泳公式」の実際の実験データとの照らし合わせは、途中段階にあり,今後の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、上で述べた「elastohydrodynamicsの統一的な遊泳公式」を実際の実験データと照らし合わせすすめ、どのような奇弾性物体として記述できるかを考察する。
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Causes of Carryover |
[理由]コロナウイルスの影響により、当初計画していた研究集会や国際会議などに中止、あるいはオンライン開催となり、効果的な研究発表ができなかったものがある。 [使用計画]本研究プロジェクトで得られた研究成果の、学会等の発表に使用する予定である。
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