2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K13457
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
川原田 茜 京都教育大学, 教育学部, 講師 (70710953)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セル・オートマトン / 数理モデル / 力学系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、記号列空間図を用いてセル・オートマトン(CA)の解析を行うことを目的としている。セル・オートマトンは局所的な相互作用によって大域的な挙動が決定される離散力学系であり、遷移規則が単純であるにも関わらず生成される挙動は多様で複雑になる特徴がある。さらにすべての変数が離散値をとるため、計算機シミュレーションとの相性が良い。 本研究ではCAの挙動をR^2上の挙動に変換し(記号列空間図)、既存の力学系理論を用いてCAを解釈する方法を提案しており、これによってCAに対して力学系の指標を与えられた精度に応じて計算することが可能となる。 本年度は、256個の一次元エレメンタリー・セル・オートマトン(ECA)に対して、記号列空間図を元にリターンマップを作成し、これを用いてECAの力学系特性を調べた。ECAには遷移規則の依存する近傍数が0, 1, 2, 3のものがあるが、0, 1に関してはほぼ自明なため、依存近傍数2の場合を中心に調べた。初期値がSingle site seed(原点のセルの値のみ1、その他のセルで値が0)のときと、初期がランダムのときのリターンマップを描き、マップの対称性からECAの分類を行った。さらにリターンマップと時間発展パターンとの対応について調べ、これらの対称性に対応関係があることを明らかにした。また、時間発展パターンを描くよりも効果的に、リターンマップからECAの挙動特性を知ることができることを明らかにし、リターンマップを用いて、各ECAのアトラクターやエデンの園配置について調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一次元ECAに対して、記号列空間図を元にリターンマップを作成し、これらの力学系特性について調べることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
一次元ECAの依存する近傍数3の場合について、本年度得られた結果をもとにより詳細の解析を進める。 一次元ECAでフラクタル図形(もしくはフラクタル様図形)を描くものがいくつか知られているが、これらの図形と生成規則との関係を記号列空間図(もしくはリターンマップ)を用いて調べる。 余力があれば二次元対称ECAの場合に拡張し、二次元対称ECAが生成するフラクタル図形と生成規則との関係についても調べる。
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Causes of Carryover |
予定していた国内研究集会への参加を1件取りやめたため。 次年度の国内研究集会への参加旅費として使用予定。
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