2018 Fiscal Year Research-status Report
外力を持つ平均曲率流運動方程式とコンパクトな進行波解
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18K13458
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
物部 治徳 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任准教授 (20635809)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 進行波解 / 界面方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞運動や油滴の運動など様々な現象において、閉じた曲線や曲面の物体がある一定方向に移動する現象が観察される。近年、興味深いことにこれらの現象に関連する数理モデルがいくつか提唱されており、界面の運動が外力を持つ平均曲率方程式によって記述されるものが数多く存在する。また、反応拡散方程式の特異極限としてもしばしば外力を持つ平均曲率方程式は出現することが確認されている(例えば、アレン=カーン方程式やロトカ・ヴォルテラ方程式の特異極限に現れる)。一方で、従来の界面方程式の進行波解に関する理論解析は、多くが1次元的な性質の平面波や、また空間非一様であっても全空間で定義されるGrim ReaperやV字型進行波などが確認されているのみで、閉じた曲線や曲面に関する結果はほとんど報告されていない。本年度は、外力が与える影響に着目し、ジョルダン曲線によって構成される進行波解(コンパクトな進行波解)の解析を行なった。特に、外力が法線ベクトルに依存する場合を取り扱い、研究者が従来まで得た結果を拡張することが出来た。具体的には、外力が正の場合は進行波解が一意に存在すること、全てのコンパクトな解は不安定であること、形状は凸であることを、より広い外力の範囲で成り立つことを示した。符号変化する場合は適当な条件が必要ではあるが、同様に一意性や安定性の結果を得ることができた。加えて、進行波解の進行方向に関する評価を与えたが、進行方向を決定づける外力の性質はまだよくわかっておらず、引き続き解析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は計画通り順調に進んでいる。2次元の進行波解の存在や一意性、凸性は従来の研究から得られており、数値計算などによる予想と計算方法ががうまく噛み合った。現在、研究成果をまとめて学術雑誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2次元の場合は概ね結果が得られたので、3次元以上の場合を本格的に考察する。2次元の場合と異なり、一般には常微分方程式系の問題に帰着することが出来ない。まずは、軸対称性を課した場合、どのような結果が出来るか考察する。また、3次元以上の場合は曲面が閉じるための条件が複雑になると予想される。そこで最初は凸性を持つ問題に焦点を当てて研究を進める。また、外力が空間や時間に依存するものに対して、コンパクトな進行波解の存在や一意性を調べる。
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Causes of Carryover |
研究を進めることで、雑誌による情報収集よりも、他大学の専門家との研究議論や、数値計算がより重要になることがわかった。このため用途の計画を少し変更した。
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Research Products
(7 results)