2019 Fiscal Year Research-status Report
Statistical modeling for circular data in ecological and environmental science
Project/Area Number |
18K13459
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
井本 智明 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教 (20749296)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ゲノムデータ / トーラス上分布 / 方向統計学 / 離散型分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には、円周上分布の離散化手法の研究とその応用を行った。この研究では、古くから利用されている分布だけでなく、新しく提案された歪度や尖度に柔軟な分布 (Fernandez-Duran, 2004; Kato and Jones, 2015)の離散化モデルも例として構成し、それらの性質を調べている。また応用として、環状の細菌ゲノム上にある遺伝子の共通位置データに対するモデル当てはめ行い、データの性質・傾向などを見出した。これらの内容については、国際会議EcoSta2019で発表を行っており、さらにComputer Modeling in Engineering & Sciencesでの論文雑誌掲載が決定している。 次に、幾何学的発想を用いた円周上モデルの構成を行った。この研究では、複素平面上の閉曲線を実軸に射影することで得られるモデルを考えている。ここで基となる閉曲線を表す関数から、平均・集中度・歪度・尖度を自由に設定できる円周上分布が構成される。このメリットから、データの性質に対して柔軟なモデルの構成に役立たせることができる。この方法によって構成される確率関数自体は複雑な形であるが、特性関数は非常にシンプルな形である。そのため、最尤法による推定よりは特性関数を利用した推定の方が計算時間は短縮され、また推定精度もよくなることが示された。この研究に関しては、国際会議EMSにて発表を行っている。 より多くの情報を取り入れたモデルの構成のために、2変量円周上分布であるトーラス上分布の構成についても考案している。その方法では、コピュラ法のように周辺分布を特定しつつ、かつコピュラ法以上にシンプルかつ扱いやすいモデルを構成できるというメリットがある。この研究過程については国際会議ISIにて発表を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、1年目に計画していた柔軟な円周上分布の構成に関する研究は2019年度に行うことができ、また2年目に計画していた離散化円周上分布に関する研究は投稿論文掲載まで決定することができたので、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、2019年度に途中まで行っているトーラス上分布の構成に関する研究について、統計的推論法の提案や実データへの応用を行い、投稿論文掲載を目指す。また、この研究から ・1年目に行ったシリンダー上分布への応用を通した、更なる情報を加えた分析が可能なハイパーシリンダー上分布の構成 ・2年目に行った離散化円周上分布への応用を通した、細菌ゲノムの分類分けの提案 を目指す。
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Causes of Carryover |
当初予定していた学会発表のための旅費が少なく済んだため。
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