2018 Fiscal Year Research-status Report
精度保証付き数値計算法を用いた反応拡散系の大域解の解析
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18K13462
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
水口 信 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (90801241)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / 精度保証付き数値計算 / ソボレフ定数の評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究である「精度保証付き数値計算を用いた反応拡散系の大域解の解析」にはできる限り長い時間において解が検証できる手法を考察する必要がある. そのため今年度はその手法構築のための準備段階として「定数評価」をメインに研究した. 精度保証付き数値計算法では計算されてでてきた値によって解の検証が成功するかしないかが決まってしまう. そのためただ上界を得るためだけの粗い評価式を提案するだけでは不十分であり,できる限り定数の上限値または下限値を計算できるようにうまく評価式を構築する必要がある. さらに境界条件や領域の滑らかさなどがその値を求める評価式の構築達成をより困難にしてしまうことも多々ある. よって対応する問題に応じて「定数評価」をどう構築し,上限(または下限)に近い値を計算できるようにするか考察することが重要となる. 当該年度においてソボレフの埋め込み定数の値の評価を考察することにより「精度保証付き数値計算を実行に移す際に必要な「Lipschitz定数」の値を計算するための公式を提案した. まずは有界凸領域上の定数を算出する公式を提案した.さらにそれを応用することで色々な境界条件や領域の滑らかさに対してもそのLipschitz定数が計算できるようにした. そして反応拡散系の解と近似解との誤差評価を求めるのに必要な熱方程式の解と半離散近似解との誤差評価式を考えた. これまでも半離散近似解との誤差評価式は提案されてきたが, 楕円型方程式の性質をうまく使えば先行研究で提案された評価式よりも誤差上限に近い値をだせることがわかった. 現在はその誤差評価式の成果についてまとめているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的のとおり, 少なくとも最初の2年は反応拡散系の精度保証付き数値計算法の解の精度保証付き数値計算法の構築に伴い, できる限り長い時間の解の存在検証ができる手法を生み出すための検討期間に割り当てる予定である.現状はその準備段階として精度保証構築するために必要な厳密な評価式を提案できた.さらに既存の常微分方程式の解の検証法との手法を組み合わせてかつその評価式を駆使することで, 解の精度保証付き計算法の具体的道筋が見え始めてきた.よって今のところは順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り引き続き反応拡散系の精度保証付き数値計算法の解の精度保証付き数値計算法の構築に伴い,できる限り長い時間の解が検証できる手法を生み出すための検討期間に割り当てる予定である.その準備段階の誤差評価式は構築できたので次は実現可能な手法を形作りたい. 具体的には有限次元部分と無限次元部分に分けて実装していく. 有限次元部分は既存の常微分方程式の解の精度保証法を用いて長い時間の解を検証していき, 無限次元部分は当該期間で構築した誤差評価式を使い検証をしていく.しかし有限次元部分における常微分方程式の解の検証の問題は既存の手法では検証が難しいタイプのものとなっており, この点を克服することを視野に色々手法を検討していきたい.
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Causes of Carryover |
今年度は精度保証の手法を構築する足掛かりを見つけるうえで必要になりそうなあらゆる分野の書物や思いついた手法を実装するテスト用の高性能なpcを購入する予定であった. 色々検証を重ねた結果, その有力候補として常微分方程式の精度保証を用いる方法に注目することとなった. そのため今年度はその常微分方程式の手法に対する書物に集中し,かつその常微分方程式の精度保証の実装は既存のpcでできたため, 購入予定だった他の分野の書物やpcの購入を一旦保留とした. しかし, 現在では手法構築の過程でその書籍やより高度な実装用のpcが必要になる可能性が再度でてきたため, 必要になったとき手に入れられるように次年度に繰り越すことを決めた. よって研究段階に今のところ大きな支障はない.
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Research Products
(3 results)