2020 Fiscal Year Research-status Report
精度保証付き数値計算法を用いた反応拡散系の大域解の解析
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18K13462
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
水口 信 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (90801241)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 半離散近似解 / 爆発解 / 爆発時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
前回に引き続き, 放物型方程式の解の精度保障付き数値計算法において必要な半離散近似解に対する誤差評価の改善にとりくみ, さらなる改良を果たしつつある.これにより本研究で対象とする方程式を含めた広い意味での放物型方程式の解の精度精度保証付き数値計算法が改善され, さらに大きな時間における解の検証が可能となることが期待される.
本年度の研究を進める過程で予想外だったことがあった.それは方程式の大域解と比べて解析が難しい爆発解について新たな着想を得たことである. 放物型方程式の爆発解はその存在が長きにわたり抽象的に論じられているが, その一方で未解決な問題もいまだ多くある. 本年度の研究ではその問題のうちのひとつで「解がいつ爆発を起こすのか」という問題に対して着目した.爆発における計算機を用いた既存の結果で多いアプローチは近似爆発時間とその収束性を導くことであるが, 厳密な爆発時間については論じられてこなかった.今回の研究において方程式のエネルギーと放物型方程式の解の数値的検証法を組み合わせることでその放物型方程式の一種の藤田型方程式の爆発解の数値的検証法とその爆発時間の厳密な評価法ができつつある.上述した爆発解の検証のフレームワークの特徴は時間局所ごとにステップバイステップで解の爆発が解析できる点である. 時間局所毎に今までの研究で組み合わせてきた放物型方程式の時間局所解の計算機援用証明を用いることで厳密な爆発時間の厳密な下界評価を求めることができる. そして既存のエネルギー評価を用いることで解が爆発することの証明と爆発時間の上界の値が同時並行に示される. そうして導出した下界と上界の間の値が求める爆発時刻の値の範囲となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では今年度は2年間の研究で培ったベストな手法を用いて実装するというものだった. 本研究ではある程度数値的検証法のめどは立ちつつある.しかし計画の段階では実装をしているはずであるが, 現状はその部分の終盤に差し掛かっている状況なのでやや遅くなってしまっている.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究において今までの成果は大域解より解析が困難な爆発解の検証法の実現に対して扱いやすいことが分かった.さらに爆発解の検証法の構築は当初の研究計画していたものよりも学術的意義が高いものであるため,今後は一部研究計画を変更して爆発解を中心とした解の解析にシフトすることとする. 具体的には,「研究実績の概要」に記述したように, 藤田型方程式の爆発解について今までの研究成果を組み合わせた現状でベストな放物型方程式の解の数値的検証法と解析学で知られているエネルギー評価を組み合わせることで爆発解の検証をしていく. その検証アルゴリズムは完成間近であるのであとは数値実験をしてできる限り厳密な値を求めていくことで遅れを取り戻しつつ,できる限りその手法の適応可能な(方程式の)範囲を拡張していきたい.
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Causes of Carryover |
論文執筆のための校正代や本の購入予定や出張の可能性があったため昨年度から使用額を引き継いできたが, コロナ禍の時期が予想を上回り長びいたことによる出張の中止や本の購入代金なども予想より低額ですんだこともあり, 大部分が残ってしまった. 最後の一年では, 主に研究してきた手法の実装に移るために必要な金額(PCやその部品費など)やその成果をまとめる論文執筆代にあてる予定である.
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Research Products
(1 results)