2018 Fiscal Year Research-status Report
次数相関を有するネットワークの頑健性とその最適構造の解明
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18K13473
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
水高 将吾 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 日本学術振興会特別研究員(PD) (70771062)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 複雑ネットワーク / パーコレーション / 臨界現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の大きな目的は、長距離次数相関とネットワーク構造頑健性の間の関係を明らかにすることである。初年度は、u-vフラワーと呼ばれるネットワークモデルおよび本モデルに関連したネットワーク上のボンドパーコレーションおよびサイトパーコレーションを解析的に調べた。これにより以下のことが明らかとなった。1) 次数分布関数を保存した下でのハブ間距離(長距離次数相関)がパーコレーションに与える影響について。u-vフラワーは、モデルパラメータであるu, vをu+v=一定としたとき次数分布関数が保存され、uの値によってハブ間距離が制御される。この条件下で、u-vフラワー上のボンドパーコレーション転移点を繰り込み方程式によって調べた。これにより、u-vフラワーにおけるハブ間の距離が近いほどボンドパーコレーション転移点は大きな値になることが明らかとなった。2) 次数分布関数および隣接次数相関を保存した下でのパーコレーションの振舞いの比較。u-vフラワー上のサイトパーコレーションを繰り込み方程式から、u-vフラワーの隣接次数相関を保存したもとでランダマイズしたネットワーク上のサイトパーコレーションを母関数法により解析し、それらの転移点の比較を行なった。また、u-vフラワーの隣接次数相関を保存したもとでのパーコレーション臨界特性は、次数相関のない全くランダムな場合の臨界特性と異なることが、本研究の解析から明らかになった。この振舞いについて大規模数値計算を用いた数値検証を行った。1), 2)の研究は、隣接次数相関を超えた高次相関がネットワーク上のパーコレーションに与える影響が有意に存在することを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
従来の既存モデル上のパーコレーションの整理にとどまった。この原因として、一連の研究の中で、u-vフラワーの隣接次数相関を保存したもとでのパーコレーション臨界特性が新奇なものであったことが挙げられる。次数相関とパーコレーション臨界特性の関係についてはいまだ深い理解が得られていないため、本結果をまとめることを優先し、解析の吟味および大規模数値計算による数値検証に時間を使った。このために当初計画から遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られた成果について早急にまとめ、論文として出版する。また、並行して研究計画に沿ってモデル研究を進める。これより長距離次数相関とネットワーク頑健性の関係の理解を深め、従来の既存モデルとの比較を行い統一的な知見を見出す。さらに得られた知見をもとに頑健なネットワークの最適構造に関して議論する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた計算機サーバーの性能面を考慮し、購入を次年度に見送ったため次年度使用が生じた。
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