2018 Fiscal Year Research-status Report
半導体ナノ粒子のコヒーレント状態を利用した高次高調波発生
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18K13481
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
田原 弘量 京都大学, 化学研究所, 助教 (20765276)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 光物性 / エキシトン / マルチエキシトン / ナノ粒子 / コヒーレント制御 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多体相関した電子系が持つコヒーレント状態を利用することで、半導体ナノ粒子による高次高調波の発現メカニズムを明らかにすることが目的である。半導体ナノ粒子内では複数のエキシトンが束縛されたマルチエキシトン状態が形成される。このマルチエキシトンのコヒーレント状態に着目することで、高調波ダイポール振動の制御を目指す。本年は、コヒーレント状態を計測する高安定位相検出・２波長位相ロックシステムの開発を行った。このシステムは、独自に開発したレーザー干渉計によって高安定な位相検出を行うものである。位相検出の性能を評価するために、ハロゲン化金属ペロブスカイトの微小屈折率変化の計測を行った。２光子励起によって光キャリアを生成し、そのキャリアに起因して生じる微小屈折率変化を高精度に計測した。この計測により、ハロゲン化金属ペロブスカイトにおいて長寿命の屈折率変化が生じることを明らかにした。また、この計測を通してレーザー干渉計の安定度の最適化を行い、非常に弱い励起強度でも微小屈折率変化を計測できることを実証した。次に、異なる波長から成る２つのパルス光を励起に用いることで、ナノ粒子のエキシトンダイナミクスの計測を行った。パルス対に高安定位相検出システムを組み合わせることで、相対位相をロックした２波長位相ロックシステムを作製した。この２波長位相ロックパルス対によって、半導体ナノ粒子内にホットエキシトンと最低準位エキシトンを生成する実験を行った。ホットエキシトンの生成・緩和過程が最低準位エキシトンの存在によって変化することを明らかにした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた高安定位相検出・２波長位相ロックシステムの開発を行い、半導体ナノ粒子のエキシトンとマルチエキシトン状態の計測を行った。これらの量子状態の位相を光パルス対によって観測し、次年度の計画の指針となる物性値の決定に成功した。以上の進捗状況により、おおむね順調に進展していると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究で行ったマルチエキシトン状態の解析によって、ナノ粒子中にエキシトン・バイエキシトン・トリエキシトンが生成されることが分かった。これらの状態の寿命や生成量に関する解析結果を元に、次年度はナノ粒子集団の量子状態および高調波振動の制御を行う。ナノ粒子どうしを近接させたナノ粒子膜を作製し、ナノ粒子集団のマルチエキシトン状態を生成する。ナノ粒子集団によって形成された量子状態と高調波振動の発現メカニズムを明らかにする。
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