2019 Fiscal Year Annual Research Report
Large scale quantum information processing based on nonlinear optical interaction
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18K13483
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生田 力三 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (90626475)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 量子情報 / 量子通信 / 光量子計算 / 量子エレクトロニクス / 周波数多重 / 量子周波数変換 / 導波路共振器 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度は光パラメトリック下方変換による周波数多重化光子対の生成を行った。本年度は、単なる古典的な周波数多重に止まらず、各周波数モード間にコヒーレンスがある量子周波数コムとして扱い、さらに偏光自由度を同時に制御することで、偏光エンタングルした量子周波数コムの生成を行った。実験装置は、一重共鳴共振器型のPPLN結晶をサニャック干渉回路に配置することで実現した。サニャック干渉回路のメリットは、位相安定である他、右回りと左回りとで同一の共振器を経由するため、異なる非線形光学結晶を2個用いるカスケード型やマッハツェンダー型の配置と異なり、水平偏光光子と垂直偏光光子間の周波数スペクトル形状が完全に一致するという特長を持つ。1520nmから1600nm程度の非常に広帯域に渡り光子対が生成されていること、また周波数モード間にコヒーレンスが十分高く存在することを示すことで、実験的に偏光エンタングル量子周波数コムが確認できたといえる。 一重共鳴共振器を使った別の実験として、周波数変換の高効率化実験を行った。共振器がない通常の媒質の場合、最大変換効率を得るためには数百ミリワットからワット級の励起光パワーを必要とする。この必要パワーを大幅に減らすためには共振器による光閉じ込めが有用であるが、単純に関与する光全てを閉じ込めてしまうと波長変換できる光の帯域を大幅に狭くしてしまうというデメリットがある。そこで、励起光のみを閉じ込め、波長変換のターゲットとなる入出力光を閉じ込めないような一重共鳴共振器を用いることで、帯域を保持したままの高効率化が可能となる。実験的には、約10倍の増強効果が確認できた。この結果を用いると、量子周波数変換による周波数領域の自由な量子操作が可能になる。また、例えば偏光モードといった他の自由度を併用することで、より広範な量子操作が可能であることを示した。
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Research Products
(9 results)