2019 Fiscal Year Annual Research Report
Phonon angular momentum and anomalous phonon response
Project/Area Number |
18K13494
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新居 陽一 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (80708488)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フォノン角運動量 / 対称性の破れ / 表面弾性波 / 非相反性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はキラル物質MnSiにおけるフォノン版ラシュバ状態、量子スピン系Tb2Ti2O7における四極子ゆらぎと秩序化、マルチフェロイクスTbMnO3における熱流の非相反性に関して研究を行った。一つ目は、空間反転対称性の破れに伴うフォノンバンドの分裂の観測に関してである。キラル磁性体MnSi単結晶の非弾性X線散乱を行ったところ、G点からR点に向かうにつれて横波フォノンモードが分裂する様子が観測された。第一原理計算に基づくフォノンバンドと比較すると、これらのモードはそれぞれ右円偏向と左円偏向のフォノンモードであり、まさにフォノン版のラシュバ状態が実現していることが分かった。二つ目はTb2Ti2O7の超音波測定を0.4K程度まで測定することで、弾性ソフト化がハード化へと転じる振る舞いを観測した。これは超音波をプローブとしてTb2Ti2O7の四極子秩序を直接観測した成果である。また三つ目は代表的マルチフェロイクスTbMnO3の熱伝導度を調べたところ、磁場に対して熱伝導度が奇の成分が観測された。更にこの奇の成分が電気分極の反転に伴って反転することも見出した。対称性の観点からは、磁場や電気分極の反転はそれらを固定して熱流を反転したものと等価である。したがって観測された効果は熱流非相反性である。また非相反性の温度依存性を調べると、強誘電転移よりもずっと低温、Tb磁気モーメントの秩序化する8K以下で生じ始めることが分かった。これはTbの磁気弾性結合が鍵となって熱流非相反性が生じたことを示唆している。
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Research Products
(3 results)