2018 Fiscal Year Research-status Report
Critical fluctuations in topological transitions of spin structures and their application to high efficiency thermoelectric conversion
Project/Area Number |
18K13497
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金澤 直也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10734593)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スキルミオン / ヘッジホッグ / トポロジカル相転移 / 小角中性子散乱 / キラル磁性体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではスピン構造のトポロジカル相転移を制御し、その時に現れる強い臨界ゆらぎの効果を利用した巨大物性の実現とその機構の解明である。初年度ではそのようなトポロジカル相転移を引き起こす物質系の開拓を目標とし、キラル磁性体Mn(Si,Ge)の合成やその磁気構造解明・磁気輸送現象測定、さらに新しいタイプのトポロジカル磁気転移の観測に成功した。 具体的には、スキルミオン格子(2次元スピン構造)をもつ磁性体MnSiとヘッジホッグ格子(3次元スピン構造)をもつ磁性体MnGeの固溶体であるMn(Si,Ge)を高圧合成法を駆使することによって初めて合成することに成功し、また組成比を系統的に制御することによって、全く異なる2つのトポロジカル磁気構造間を移り変わる過程を明らかにできた。特に広角中性子散乱実験(TAIKAN, J-PARC)を用い、その中間過程、すなわち中間組成領域において、新しいタイプのヘッジホッグ格子(ヘッジホッグ-反ヘッジホッグが面心立方格子を組んだ状態)が実現されている可能性を見出した。これは外部圧力によるトポロジカル磁気構造の制御方法を示唆するものであり、今後トポロジカル磁気構造の設計指針やデバイス応用に重要な指針を与えることが期待できる。特にヘッジホッグスピン構造は伝導電子に対して強烈な効果を与える創発磁気モノポールとして振舞い、巨大かつ多彩な物性をもたらすため、新しい電子機能に繋がる可能性がある。実際に本研究においても、創発磁気モノポール(実空間のベリー位相)に由来した巨大なホール効果を観測することに成功した。 本結果は学会発表や論文掲載(Nature Communications 10, 1059 (2019))、プレスリリースを行い成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目標であったトポロジカル相転移を引き起こす物質系の開拓に成功し、新規磁気構造のヘッジホッグ格子を観測することができた。さらにその新規トポロジカル磁気相において、ベリー位相起源の巨大なホール効果(トポロジカルホール効果)が現れることを明らかにし、創発磁場の巨大なゆらぎの効果を議論することができた。これらの結果から、トポロジカル磁気構造の多彩な制御方法や新規電子機能の可能性を示唆することができ、計画以上の進展が得られた。またすでに研究結果は論文として出版し成果発表を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
多彩なトポロジカルスピン構造とそれらの相転移を明らかにすることができたので、今後は磁場などの外部刺激によってトポロジカル相転移におけるゆらぎの効果を調べていく。これまで実験を進めていく中で、強磁場実験や中性子回折実験が、臨界ゆらぎと動的な創発磁場(実空間ベリー位相)の関係を明らかにする適切な手法であることが分かってきたため、それらの手法を駆使してゆらぎの効果の定量的な評価を行う。また電気・熱輸送測定を通して、トポロジカル磁気構造体の特異なゆらぎの効果に起因した巨大電気・熱物性の開拓を推進していく。引き続き成果は学会発表や論文出版、プレスリリースを通して発信していく。
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[Journal Article] Topological transitions among skyrmion- and hedgehog-lattice states in cubic chiral magnets2019
Author(s)
Y. Fujishiro, N. Kanazawa, T. Nakajima, X. Z. Yu, K. Ohishi, Y. Kawamura, K. Kakurai, T. Arima, H. Mitamura, A. Miyake, K. Akiba, M. Tokunaga, A. Matsuo, K. Kindo, T. Koretsune, R. Arita, Y. Tokura
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 10
Pages: 1059-1-8
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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