2018 Fiscal Year Research-status Report
Observation of AFM spin fluctuations in iron-based highest-Tc superconductor
Project/Area Number |
18K13499
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯村 壮史 東京工業大学, 元素戦略研究センター, 助教 (80717934)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 鉄系超伝導体 / 高圧合成 / 中性子非弾性散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はLa1-yYyFeAsO1-xHxが示す二つの磁性相に対して中性子非弾性散乱の温度依存性を測定し、反強磁性相の磁気励起のエネルギー、波数、温度依存性を明らかにした(x=0 and 0.5, y=0)。反強磁性相の起源の違いを反映し特に温度依存性に大きな相違が見られた。x = 0のAFM1の場合、ネール温度に相当する140K付近で最も強い磁気散乱強度が得られた。これは理論的に予想されるスピン密度波機構とコンシステントな温度依存性が得られた。一方、x = 0.5では、ネール温度以下から磁気散乱強度が増大しはじめ、最低温にて最大強度が得られる結果となった。これはx = 0の遍歴磁性のモデルとは対照的で、AFM2が局在磁性であることを示している。本結果から、La1-yYyFeAsO1-xHxの超伝導相中に見られる二種のスピン揺らぎの由来を切り分けるには、波数依存性だけでなく温度依存性を測定することが有効であることが分かった。 次にベルト型高圧合成装置を用い、1200C、5GPaの条件下でx = 0.15, y = 0.3, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.9の仕込み組成においてLa1-yYyFeAsO1-xHxの合成を試みた。広いイットリウム濃度範囲において本相の合成に成功した。また昇温脱離ガス分析、電子線マイクロプローブアナライザを用いて化学組成の分析を行った。イットリウム、水素の両濃度とも仕込み濃度に近い値が得られ、本件度もしくは来年度以降中性子非弾性散乱測定に臨む化学組成:(x, y)=(0, 0.85), (0.2, 0.85), (0.5, 0.85)を持つ試料の合成が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予想通り、AFM1とAFM2相の磁気励起に構造的違いがあることを実験的に明らかにすることができたことが大きい。さらに、ターゲットとしているLa1-yYyFeAsO1-xHxの高圧合成も計画通り遂行できており、順調に研究を遂行できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ターゲット試料の超伝導特性の評価、重水素化に取り組み、試料を10g程度合成した後に中性子非弾性散乱測定に臨む。
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Causes of Carryover |
もとの計画では平成30年度に試料の大量合成をするため、遊星ボールミルの購入を考えていた。しかし、昨年度は主に磁性相への非弾性散乱測定を行ったため、スピン励起の強度が強く大量に試料を合成する必要が無かった。平成31年度には超伝導試料の合成と非弾性散乱測定を計画しているため、これらの試料からのシグナルは磁性相と比べ圧倒的に小さい事が予想されるため、試料を大量に合成する必要があり、予定通りボールミルの購入を考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Gapless magnetic excitation in a heavily electron-doped antiferromagnetic phase of LaFeAsO0.5D0.52018
Author(s)
Hiromu Tamatsukuri, Haruhiro Hiraka, Kazuhiko Ikeuchi, Soshi Iimura, Yoshinori Muraba, Mitsutaka Nakamura, Hajime Sagayama, Jun-ichi Yamaura, Youichi Murakami, Yoshio Kuramoto, and Hideo Hosono
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Journal Title
Physical Review B
Volume: 98
Pages: 174415-1-6
DOI
Peer Reviewed
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