2020 Fiscal Year Annual Research Report
Observation of AFM spin fluctuations in iron-based highest-Tc superconductor
Project/Area Number |
18K13499
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
飯村 壮史 東京工業大学, 元素戦略研究センター, 特定講師 (80717934)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鉄系超伝導体 / 高圧合成 / 中性子非弾性散乱 / ヒドリドイオン / イオン伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、水素化物の高圧合成の過程で発見した新たな三つの酸水素化物(単斜晶,斜方晶,六方晶LaHO)の単相化、組成分析、構造決定を行った。単斜晶LaHOおよびその重水素化物は,水素分圧1-2MPa,温度400℃下で合成した.USPEXコードから最も熱的に安定な構造として単斜晶UFeGe型構造が得られ,その構造をもとにX線,中性子回折パターンのリートベルト解析を行い,構造の正しさを確かめた.2GPa,および4GPa下で得られる斜方晶および六方晶相も粉末回折パターンに対するリートベルト解析からそれぞれPbCl2型およびanti-Fe2P型と同定できた.また化学組成を水素リッチ側にずらすと鉄系超伝導体LaFeAsO1-xHxと同様に水素と酸素が無秩序化し正方晶構造が安定化した.本構造は高いアニオン伝導が観測される相であることから,その構造安定化因子を詳細に調べたところ,カチオン八配位の蛍石型構造を安定化する限界イオン半径比rLa/rX > 0.732よりもさらに大きな半径比rLa/rX > 0.85が必要であることが分かった(ここでXは酸素と水素の平均イオン半径比).アニオン過剰蛍石型構造を有する正方晶相は蛍石型構造の格子間位置に過剰のアニオンを持つ.この過剰アニオンと蛍石型構造の正規位置にあるアニオンは近接しており,アニオン間に働く大きなクーロン反発力が構造を不安定化させる要因と考えられる.しかし,これらのアニオンに対して大きな半径比rLa/rX > 0.85を示すサイズの大きなイオン,例えばランタン等,がアニオン過剰蛍石構造のカチオン位置を占有すると,このアニオン間距離を拡げ,クーロン反発を弱めることが出来る.このクーロン反発緩和が高速アニオン伝導を示す正方晶相を安定化させるために大きな半径比rLa/rX > 0.85を要する理由であると結論した.
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Research Products
(2 results)