2020 Fiscal Year Research-status Report
Simulation study of mesoscale cooperative phenomena in ionic liquids - slow relaxation and interface fluctuation
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18K13513
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芝 隼人 東京大学, 情報基盤センター, 特任講師 (20549563)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | イオン液体 / 自己相関関数 / 回転緩和 / 分子動力学法 / GPGPU |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、水型液体、および関連物質としてのガラス形成液体の分子動力学計算において、自己拡散を記述する時間相関関数計算をシングルノード上マルチGPU環境で効率的に行う実装を実現する成果があった。より詳しくは、分子のトラジェクトリの力場計算をGPU上で処理している間に、自己相関関数の計算に必要な個別粒子ごとの時間相関を蓄積するという負荷の時間相関関数の計算をホストCPU上で行う仕組みを導入することによって実現された。また水型液体に対する超並列シミュレータの開発を行った。約20万原子の系に対して汎用CPU 16基 (Intel Xeon Platinum 8280) 上で1日 10^7 ステップ, 20ナノ秒を超える実行が可能となった。また、CUDA による GPU上で分子動力学計算を実行することが可能となるよう、プログラムの実装を進めた。 中国・中南大学との共同研究において、振動剪断下でイオン液体からイオン性液晶相(スメクティックA, B 相) への転移が加速することを分子動力学シミュレーションにより見出した。剪断率と温度の関数とし、液晶の層構造に対する秩序変数やスメクティックB液晶構造を特徴づける6回対称相関長、緩和時間などを網羅的計算を実施した。 前年度までに得られたイオン液体の構造緩和における並進拡散係数と回転緩和時間の関係についての成果、電極間イオン液体の誘電率の空間プロファイルの成果について、論文公表に向けた作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当年度は、研究代表者が異動した直後の活動のスタートの年度に当たっており、新規の研究および関連業務によるロードが比較的多くあり、結果として本研究課題遂行に費やす時間が制約された。また、また参考意見を得るための研究者との議論の機会が減っている。このため、最終段階の論文公表作業の進捗に支障があった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は課題最終年度の予定であったが、補助事業期間を1年間延長することで引き続き得られた成果の論文執筆を進める。論文共著者との連絡はオンラインミーティングを活用することなどによって推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
最終成果公表に遅れが生じたため、論文発表について補助事業期間延長の手続きを取った上で、2021年度に論文公表に関連して必要な金額を繰り越した。
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