2023 Fiscal Year Annual Research Report
Simulation study of mesoscale cooperative phenomena in ionic liquids - slow relaxation and interface fluctuation
Project/Area Number |
18K13513
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
芝 隼人 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 准教授 (20549563)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | イオン液体 / 電解質キャパシタ / 電圧一定アンサンブル / 微分容量 / 回転緩和 |
Outline of Annual Research Achievements |
2つのグラファイト固体界面間にイオン液体を封入した電気二重層キャパシタは、充放電速度や電力性能、耐久性などで優れた特性を発揮しうるという観点から、応用可能性が期待され。特に静電容量を向上させる観点からは電極の比表面積を高めると有利であり、特に電気二重層が介在することで容量が電位依存性を持つようにナノスケールまで狭く取られたキャパシタの特性を把握することが重要である。この動機から、一定電圧条件に電位差を保ったグラファイト電極間にBmimTFSIイオン液体を封入し、電極間ギャップサイズを極めて小さくした時の電気容量特性を仔細に調べた。1.4 nm を下回るギャップサイズの場合には、全キャパシタンスは、文献にある以前の分子シミュレーション結果と一致するピークを示しており、また電気二重層は存在ができなくなる。一方、2 nmを超えるギャップサイズになってくると、全キャパシタンスは印加ポテンシャルと閉じ込めの影響をほとんど受けず、電気二重層の効果が顕在化した。特に、微分容量に着目した時に、電極間ギャップが1.5-10 nmでは、微分容量の振る舞いはラングミュア吸着モデルは整合する傾向を示した。これらの結果は、分子スケールでの界面吸着メカニズムが、電気容量の振る舞いに強い関係があることを示唆している。成果は原著論文として出版された。 イオン液体について界面特性と動力学特性を有機的に結びつける当初目標が完全に達成されたとは言い難いが、事業延長期間を含む全期間を通じた一連の成果は、イオン液体の物性発現に関わる分子論的メカニズムの知見の深化に寄与したと考える。
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