2021 Fiscal Year Research-status Report
Designing principles of mechanical metamaterials based on the studies of heterogeneous elastic materials
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18K13519
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐野 友彦 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (00791378)
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Project Period (FY) |
2021-03-01 – 2024-03-31
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Keywords | しなやかな構造 / シェルの力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
微細構造を精緻にデザイン可能なシェルとしたシェル構造の集合体の力学応答を実験的に明らかにすることを目的として研究を行なった。シェル構造のなかでも負のガウス曲率をもつ鞍型のシェル(ポテトチップス型)に着目する。鞍型のシェルはお互いに重なり合うことができないため、集合体は多孔性をもち 、乱雑な構造をなすが力学応答は制御可能であることが期待される。鞍型のシェルをさらに単純化した、曲がった梁構造の集合体を考えた。円筒形に曲がったシェルを精度良くかつ効率よく設計するための実験手法を開発した。PET-G 製板の熱可塑性を利用して円筒形シェルの曲率半径を設定した。レーザーカッターによりリボン状に切り出した真っ直ぐな板を円形の鋳型にはめこみ、内側にゴムをはめ入れることで均一な半径をもつ円状に曲げた。さらに鋳型ごと熱湯に入れ冷却することで、一様な自発曲率をもつ円筒形シェルを作成した。本手法を用いて、2つの円筒形シェルが互いに押し付けられた際の大変形の様子を明らかにした。力変位曲線と形状観察によって、しなやかな構造同士が接触によってどのように変形するのか明らかになった。変形の様子はシェルの幾何形状に応じて、滑らかにつかみあう滑り変形、突っ張ったシェルが素早く跳ね返りつかみあうスナップ変形の2種類の変形をすることがわかった。実験に加えて離散シミュレーションも実施した。集合体としての応答も明らかにするため、アクリル容器を作成し30個のシェルをランダムに配置した系の圧縮試験を行なった。圧縮に際してシェル同士が互いにはまり合うことで低荷重が維持されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一時中断していた研究を本年度より再開している。計画通り、実験を中心とした研究を実施している。実験系が概ね構築できたため、シミュレーションや理論を組み合わせて今後研究を展開していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度実施した離散シミュレーション手法と実験結果を比較したところ、定性的にシェルの変形を再現することがわかったものの再現精度が十分ではないことがわかった。シェルが曲がっているために、離散化の影響が大きく出ることがわかった。これはシェルの中心線をつなぎ合わせた球状粒子でモデル化しているため、実験材料は滑らかな極田であるにも関わらず、球状の凸凹の性質を反映したシミュレーション結果になってしまったことが理由である。つまり変形する曲面同士の接触を正確にモデル化する必要がある。複雑な幾何形状の接触問題に詳しいコンピューターグラフィックスの専門家と協力し、数値的なモデル化を今後考えていく予定である。
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