2018 Fiscal Year Research-status Report
ピコ秒高強度レーザーによる静的電磁場の自己生成とその相対論的電子加速への応用
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18K13522
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小島 完興 京都大学, 化学研究所, 特別研究員(PD) (40815156)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レーザープラズマ相互作用 / 高強度レーザー / レーザーイオン加速 / 光圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
マルチピコ秒に及ぶ高強度レーザーとプラズマ相互作用ではレーザーにより加熱されたプラズマの圧力がレーザーの光圧を上回り、プラズマの運動がホールボーリングからプラズマ膨張へ遷移する現象が現れると予測されている。プラズマは膨張と付随して準静的な電磁場の急激な成長を引き起こし、レーザー電磁場との間の相乗効果により、相対論的電子加速の高効率な加速を引き起こす。このようにプラズマ膨張はマルチピコ秒高強度レーザー・プラズマ相互作用で起きる特異な電子加速の発端となるため、観測およびその物理の理解は非常に重要である。 我々の研究ではこの相対論的臨界密度面の高速運動を観測するために相対論的臨界密度面からの反射光をFROG(Frequency-Resolved Optical Gating)法により観測する方法を選択した。反射光は移動する相対論的臨界密度面を光源として発生するため、その移動速度はドップラー効果により波長シフトとして現れる。本研究では偏光ゲートと呼ばれるタイプのFROGの観測時間領域をマルチピコ秒に拡大する設計を行った。偏光ゲートFROGは入射に角度をつけた2つのビームが非線形媒質中で起こす光カー効果を時間分解に利用する。これまでに非線形媒質として0.5mm厚のSF-11ガラスを用いて121fsの時間分解能、600本/mmの回折格子を用いた分光器を用いて波長分解能0.5nmを実現した。 マルチピコ秒高強度レーザーの照射中に起きるプラズマの高速運動を観測するためにエネルギー:161 J、パルス幅:3.3 ps (FWHM)のLFEXレーザーパルスをアルミターゲットへ照射し反射光をFROGによって計測した。観測されたドップラーシフトの時間発展からLFEXレーザーが相互作用したプラズマのスケール長及び電離度を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の予定であった計測器の開発と較正実験に加えて、開発した計測器を用いてプラズマ高速運動の観測実験まで進むことが出来た。このことから当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度に得られた実験結果を投稿論文または国際学会(11th International Conference on Inertial Fusion Science and Applications)で発表することを計測している。 また今後、LFEXレーザーでより長いパルス照射を行い、ホールボーリングによるレッドシフトのみならず、膨張によるブルーシフトも観測する予定である。
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Research Products
(3 results)