2019 Fiscal Year Research-status Report
低域混成波駆動トカマクプラズマの内部磁場計測による波動・電流分布相互作用の解明
Project/Area Number |
18K13524
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻井 直人 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (20707351)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 球状トカマク / 高周波電流駆動 / 内部磁場計測 / マイクロ波偏光計 / 拡張MHD |
Outline of Annual Research Achievements |
トカマクプラズマを高周波により駆動する方法を確立することができれば、中心ソレノイドを除去し、トカマク型核融合炉の性能を大幅に向上させることができる。本研究は偏光計の内部磁場計測により、高周波駆動プラズマの内部磁場構造(電流分布)を明らかにするものである。また、高周波と粒子、MHD平衡の間の相互作用を理解し、プラズマ立ち上げの定量的なモデルの構築を目指すものである。
初年度(2018年度)は偏光計を製作し、偏光の変調信号を得ることに成功したが、放電中の信号強度の減少により、プラズマ由来の位相変化を検出することができなかった。2019年度はまずアンプの増設を行った。またマイクロ波及び高周波回路のコイル磁場と高周波ノイズ遮蔽を綿密に行った。これにより放電中も十分な信号強度が得られるようになったが、位相雑音は数10度と計測には大きすぎる値であった。ファラデー回転角を正確に計測するために、変調周波数は光源の周波数安定性が許す範囲で極力低く設定していたが、これが返って位相計測の精度を下げてしまっていたことが一因であった。そこで当初予定の、2台の発振器で作った偏光変調を直接計測するというのではなく、3台目の発振器との間の変調をとってから、偏光変調を取り出すものにマイクロ波回路設計を変更した。この構成であれば、偏光変調が持つファラデー回転角の精度を維持しつつ、位相検出も高い変調周波数で精度よく行うことができると考えられる。
定量的なプラズマ立ち上げモデルに必要な、MHD平衡解析コードの開発も行った。これは高周波(低域混成波)により生成される高速電子電流とMHD流体の2成分を持つ拡張MHDモデルにより平衡計算を行うものである。新しい平衡計算コードを従来の磁気計測データに対して適用したところ、電流分布は従来思われていたよりもずっとトカマク内壁側で大きくなっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プラズマ由来の偏光信号を得るのに苦戦している。今回設計変更を行ったが、マイクロ波部品の追加製作には長い時間がかかることも一因である。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロ波回路のアップグレードを完了する。また、現在信号強度を優先してトカマク本体近くに発振器や検出器を置いているが、これが返って良くないようなので、トカマクから十分離れたところで計測を行うよう伝送路を延長する。マイクロ波そのものの信号は周囲の雑音と混ざらないので、このような構成で必要に応じてアンプを追加することで、雑音が減ることが期待される。
また、新しい数値モデルの開発も進める。MHDモデルがある程度形になったので、今後波動・粒子相互作用の新しいモデルを開発していく。
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Research Products
(2 results)