2022 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical Study of Black hole dynamics in Higher dimensional gravity using the large D limit
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18K13541
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
鈴木 良拓 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), ポストドクトラル研究員 (90711490)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Gauss-Bonnet重力理論 / ブラックホール / AdS/CFT対応 / 高次元極限 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究課題の一つである高次曲率重力理論におけるブラックホールの研究など高次元極限の応用研究を推進した。特に高次曲率重力理論の最も単純な場合であるGauss-Bonnet重力理論に着目した研究を行った。また、ブラックホールをテーマとしたその他の課題についても研究を行った。
【Gauss-Bonnetブラックホール】昨年度に構成したGauss-Bonnet重力理論(GB重力)における回転ブラックホールの動的な振る舞いを調べることが目的であるが、回転する時空の動的な解析は非常に込み入っているため、準備段階として、より単純なブラックストリング解の解析を行なった。ひも状のブラックホールであるブラックストリングは、アインシュタイン理論では単純な解析解を持つが、GB理論では解析解は知られていない。高次元極限を用いてブラックストリング解を近似的に構成し、動的な不安定性を調べた。特にGB理論において、あまり理解が進んでいないエントロピー増大則を示すことができた。回転ブラックホールの解析への応用に関しては、現在進行中である。 ・GB理論におけるブラックストリングについては、別の近似的アプローチとして、曲率補正が大きい極限をとる近似を提案し、実際に近似解が求めた。本研究はこれまでにない近似的手法を提案するものであり、新たな応用研究への発展が期待できる。
【AdSブラックホール】高次元極限を用いて反ドシッター時空中のブラックホールの多様な相を調べた。特に時空にブレーンが存在する場合には、ブラックホールがブレーンから蒸発する様子を解くことができた。AdS/CFT対応によれば、この現象はブレーン上のブラックホールがホーキング放射によって蒸発していく様子を記述すると解釈される。本来、類似の研究は高度な数値計算を用いて行うものであるが、高次元極限を用いることで、驚くほど簡便に結果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、高次元極限を用いて多くの応用研究を発表することができた。 特に高次曲率理論とAdSブラックホールへの応用に関しては、大きな進展が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
Gauss-Bonnet重力理論におけるブラックホールに関しては、回転ブラックホールの動的な性質を調べる必要がある。この問題に関しては現在研究が進行中である。また、より一般的な高次曲率重力理論におけるブラックホールについて解析を行なっていく。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍の影響が色濃く、オンラインの会議も多かったため、予定よりも支出が少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度は残額を用いて、国内会議での発表を行う。
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