2020 Fiscal Year Research-status Report
New picture of meson-nuclear states probed by few-body systems
Project/Area Number |
18K13545
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
山縣 淳子 京都産業大学, 理学部, 准教授 (90548215)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 中間子原子 / K中間子 / ストレンジネス / 強い相互作用 / ハドロン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中間子が原子核に束縛された中間子原子核を対象とし、将来の中間子原子核研究を見据えて、10年後に得られるであろう実験の系統性と実験データの精密化を考慮した中間子原子核の理論的探求を行うことを目的としている。 今年度はJ-PARCで行われた反K中間子ビームを用いた4He, 3Heに対するK中間子原子の精密測定に関する理論計算を行った。これまで得られている実験データと比べると非常にエラーバーの小さいデータが観測されており、この結果より未だ確定していないK中間子と原子核の間の相互作用について情報を得られることが期待されている。K中間子原子状態は、主要な相互作用がクーロン力であり、強い相互作用の影響は非常に小さい。しかし、精密測定を行うことで、この小さな強い相互作用の影響がK中間子原子状態にどのようにあらわれているのか明らかにすることが期待される。束縛状態の計算はKlein-Gordon方程式を用いて行い、現象論的モデルと言われる強い引力の場合と、カイラルユニタリーモデルと言われる弱い引力の場合で振る舞いに非常に小さな差があることがわかった。実験データと比較したところ、理論計算の改良の余地があることがわかり、今後、少数系の取り扱いを慎重に行うことが必要であることがわかった。 また、K中間子-D中間子-核子の束縛状態をAMD(反対称分子動力学)法を用いて求める計算は、K中間子原子核のプログラムを完成させ、先行研究の結果を再現することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は上記研究に加えて、K中間子-D中間子-核子の束縛状態をAMD計算で行う予定であったが、COVID-19の影響でオンライン授業対応に時間が必要となり、計画書にあるエフォートを確保することができず、研究の時間を確保することが難しかったため、1つの研究テーマのみを進めることになった。そのため「やや遅れている」という判断にした。また、研究成果を国際会議で報告し情報を集めることで研究を発展方向を考える予定であったが、こちらもCOVID-19の影響で会議が中止となり叶わなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
K中間子-D中間子-核子の束縛状態をAMD計算で求めるという理論研究を第一に進める。すでに、中間子1つと多核子系の束縛状態に対するプログラム作成は完了しているので、次のステップとして別の中間子を束縛させる、ということを考える。また、K中間子原子の精密測定実験に関連して、K中間子の質量に関する理論研究も同時に進めて行く予定である。
|
Causes of Carryover |
旅費として申請予定であった国際会議がCOVID-19の影響で中止となったため次年度使用額が生じた。次年度、旅費として使用することを考えているが、オンライン開催となり外部に行く予定が立たない場合は次年度の数値計算環境を整えることやデータ整理のために使用する。
|