2022 Fiscal Year Annual Research Report
New Approach to Non-perturbative Quantum Field Theory Inspired by Gradient Flow
Project/Area Number |
18K13546
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
菊地 健吾 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 基礎科学特別研究員 (20792724)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 場の理論 / グラディエントフロー / 超対称性 / 自発的対称性の破れ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は二つのテーマに取り組んだ。一つは、超対称性グラディエントフローの場の理論、もう一つはグラディエントフローを用いた自発的ゲージ対称性の破れの研究である。
超対称性グラディエントフローの場の理論の研究では、SU(N)Yang-Mills理論において提唱されたグラディエントフローの方法は、紫外有限であるという性質に、ゲージ対称性が重要な役割を果たしている。ゲージ相互作用以外の相互作用を含むグラディエントフローの構成は一般に自明ではない。一方で超対称性は非常に強力な対称性のため、非ゲージ的な相互作用を含む場合でも有限にすることが可能である。本研究では、グラディエントフローの方法を超対称Wess-Zumino模型に適用し、繰り込み不変なパラメータだけを持つように変数変換を行いフロー方程式を構成することで、相互作用を含む超対称性フロー理論が紫外有限になることを、非繰り込み定理と適切な初期条件によって、摂動の全次数において示し、その結果を論文 arXiv:2302.06955として発表した。
グラディエントフローを用いた自発的ゲージ対称性の破れの研究では、自発的対称性の破れの新しい秩序変数をフロー場を用いて定義し、相構造を調べる新しい解析手法を提案した。具体的にはU(1)ヒッグス模型に対して解析を行い、対称性相に対しグラディエントフロー方程式を構成、解析した。U(1)ヒッグス模型でも紫外有限である性質を実際に確かめ、有限部分の計算はグラディエントフローと相性の良い鞍点法を用いて計算を行い、結果として、フロー時間の無限大極限においてこの秩序変数が0になるという無矛盾な結果を得た。この結果を論文arXiv:2303.10841として発表した。
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Research Products
(2 results)