2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on the contributions of the alpha-induced reactions in the explosive hydrogen-burning processes by direct and indirect measurements
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18K13556
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 勢也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (00747743)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原子核物理学実験 / 宇宙核物理学 / 不安定核ビーム / X線バースト / rp過程 / トロイの木馬法 / 冷却期待標的開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で計画している理化学研究所(理研)の加速器施設を用いる実験を遂行するために、理研のProgram Advisory Committee for Nuclear Physicsによる実験の承認が得られた。10.5日間の本実験の前に、共同実験者のSungyunkwan大学のChae Kyungyuk氏の研究グループとともに、実験の統計上重要な26Si放射性同位体ビームの生成テスト実験を行った。このテスト実験では、二次ビーム生成気体標的に入射可能な一次ビーム強度を上げるため、気体標的窓に用いられる既存のHavar膜よりも熱伝導率のよいモリブデン、チタン、ベリリウム銅などの素材の有用性を評価した。その結果、モリブデン、チタンについては以前の数倍程度の強度の一次ビームを入射できることが示された。これは、類似の気体標的を用いる実験施設の中でも新しい試みである。この実験においては、テストをした膜の素材の購入や、標的の温度モニター用のサーモグラフィー、真空層に装着する赤外線透過窓などを導入した。 さらに入射可能な一次ビーム強度を上げるべく、気体標的そのものの冷却性能の向上にも取り組んでいる。膜を保持するフランジの素材や形状、液体窒素による直接的な冷却を可能にする構造などを設計し、製造に向けてデザインを検証している。新たな膜素材と気体標的によって、入射可能な一次ビーム強度は以前と比べると一桁程度上がると見積もっている。これは、競合する他の低エネルギー放射性同位体ビーム分離施設に比べてもかなり高強度の実験ができることが期待でき、将来的には他のビームの強度や、生成できる放射性同位体の種類も増やすことにも役立つと考えられる。新しい気体標的は新たに重イオンビームでテストする予定で、理研にて開発ビームタイムを取得している。本実験はこれらの開発の結果を踏まえ、2020年度中に計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
科研費の使用状況は、当初の計画でまだ遂行できていない部分があるが、提案した実験の承認を得られており、本実験の前段階のテスト実験、標的開発など、着実に研究は前進している。ただし、新しい気体標的の製造は、新型コロナウイルス感染防止の緊急事態宣言に伴い、依頼している企業の進捗がやや遅れており、今後のテスト実験の予定が少し変わる可能性もある。これらの開発の結果により、本実験を遂行できる時期、必要な物品などを見定めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
承認された気体標的開発テストのビームタイムは、2020年6月に計画されているが、製造の遅れにより、以後さらなるテストが必要になる可能性もある。26Si(α,p)反応直接測定の本実験の時期、セットアップの設計等は、それを踏まえて検討し、それに必要な諸経費を執行していく。間接的な測定手法であるトロイの木馬法による実験の計画は、先んじて行う上記の直接測定の実験結果を受けて、さらに再検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
一番大きい予定額を占めていた検出器配置用固定具一式の購入を次年度に見送ったため。ただし、これは2019-2020年のテスト実験の結果を受けて再設計する必 要があるためであり、研究上必要でなくなったからではない。また、新たに開発している気体標的は現在デザインを精査中で、その支払いは製作が終了してからということになる。
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