2018 Fiscal Year Research-status Report
Constraints on the nature of cosmic acceleration and neutrino mass through the number count of high-redsfhit galaxy clusters
Project/Area Number |
18K13561
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮武 広直 名古屋大学, 高等研究院(理), 特任助教 (20784937)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 観測的宇宙論 / 銀河団 / 光赤外天文学 / 赤外天文学 / 多波長観測 / 画像処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、すばる望遠鏡新超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam (HSC)によるすばる望遠鏡戦略枠広視野深宇宙サーベイ(以下HSCサーベイ)による光近赤外撮像データと、Spitzer宇宙望遠鏡Infrared Array Camera(IRAC)による中間赤外撮像データを組み合わせることにより、赤方偏移z=1以上の高赤方偏移銀河団カタログを作成し、このカタログを用いて、いままでにない高赤方偏移における銀河団計数を系統的に行い、宇宙論パラメータの制限およびニュートリノ全質量に上限を付けることを目的とする。本年度はその準備段階として、すばる望遠鏡HSCとSpitzer IRACのデータを組み合わせることにより、遠方銀河の測光的赤方偏移がどの程度改善するかを調べた。その結果、HSCだけでは外れ値を持つ銀河が約21%存在したが、それが14%にまで改善した(銀河の赤方偏移を1.0 < z < 2.0に限ると26%から11%にまで大幅に改善)。今年度は、HSCとIRACそれぞれのカタログにおける測光値を組み合わせた解析を行ったが、次年度はより精度を上げるために、HSCとIRACの画像データにまで立ち戻り、より最適な測光パイプラインを開発する。IRACの画像データは点拡がり関数がHSCのそれよりも非常に大きく、複数の天体が重なったものが一つの天体として観測される場合がある。よって、HSCで検出された天体を参照しながらIRACの画像を解析することで、IRACの画像上で混ざった天体を分離し、より正確な測光を行なうことが可能となる。今年度はこの測光を可能とする既存のソフトウェアの選定を行なった。次年度はHSCとIRACのデータをこのソフトウェアを用いて組み合わせることにより、より正確な測光的赤方偏移を得て、それを元に高赤方偏移銀河団カタログを作成する予定である。次年度はこのカタログ作成に関する論文を書き上げ、カタログをコミュニティに公開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先に述べたように、今年度はCOSMOS領域におけるすばる望遠鏡HSCとSpitzer IRACのカタログを組み合わせることにより、銀河の測光的赤方偏移の推定が大幅に改善される(銀河の赤方偏移1.0 < z < 2.0において外れ値が26%から11%まで減少)ことを確認した。また、次年度の同時画像解析で用いるソフトウェアの選定を行った。次年度はHSCとIRACのデータをこのソフトウェアを用いて同時画像解析し、IRACの画像上でより正確な測光を行い、測光的赤方偏移をさらに改善する。今年度はそのための準備が十分にできたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、HSCとIRACの同時画像解析でえられたより正確な中間赤外線帯での測光値を用いて、測光的赤方偏移をさらに改善する。それに基づいて高赤方偏移銀河団カタログを作成し、高赤方偏移における銀河団計数を系統的に行い、ニュートリノ全質量を制限することを目指す。本カタログは全世界に公開する予定であり、HSCサーベイの深さを最大限利用した、その時点で世界最大規模の高赤方偏移銀河団カタログとなる予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、米国側の共同研究者によるIRACの画像のアップデートが完了しておらず、米国への渡航の必要がなくなったため。次年度以降は同時画像解析パイプラインを実装するため、実際に渡米し、密に連携を取りながら研究を進めていく予定である。
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