2020 Fiscal Year Research-status Report
高圧キセノンを用いた方向感度と大質量を両立する究極の暗黒物質探索実験の原理検証
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18K13567
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 輝石 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (80750463)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キセノン / 暗黒物質 / 中性子 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、中性子ビーム照射実験のための高圧キセノンガス検出器の制作を開始した。この検出器には可搬性が求められるため、なるべくシンプルかつ軽量に作る必要がある。当初、研究室にもともと存在する10L試作機の改造でビーム試験を計画していたが、構造的に放電に弱く、また読み出し回路もトリガー生成のためにNIMラックを必要とするため可搬性に乏しかった。後述する2つ目の目的の予算で回路を購入することができたため、ビーム試験用検出器を新たに製作する方針を取ることにした。検出器の構成は基本的にはAXEL実験の検出器をベースとすることで開発期間を大幅に短縮することができる。特に、専用の読み出し回路やFPCケーブルを使うことができるのは、ビーム試験に向けた検出器開発にとって非常に有用である。専用の読み出し回路の使用はNIM等のラックが不要になるため、大幅な軽量化と可搬性を実現する。また、FPCケーブルも低アウトガスで1ユニット56chをまとめてフィードスルーを通せる仕様になっているため、効率よいケーブリングが可能である。今回新たに作る検出器の構成を決定し、納期が長く不可欠な物品から優先的に購入・組立を開始した。読み出し回路と、56chを低アウトガスでつなぐFPCケーブル、MPPCの一部を制作した。放電については、ELCCユニットのメッシュ電極及びアノード電極の構造を最適化することでかなり抑えることができた。 ビーム試験の2つ目の目的としてミグダル効果の観測についてシミュレーションによる試算を行い、論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放電対策の目途が付き、ビーム試験に向けて具体的に動き出すことができた。 2つ目の目的についても論文を出版できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度上旬に検出器を完成させ、中旬にビーム試験を実施し、下旬に結果をまとめる。
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Causes of Carryover |
申請者の所属が変わるため、検出器の組み立て場所も変更することになった。 そのため、異動先に納品したい物品(大きいもの、重量のあるもの)は次年度に購入することにした。
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