2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13574
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
西畑 洸希 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 訪問研究員 (00782004)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 不安定原子核 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子数(もしくは陽子数)が陽子数(中性子数)に比べて極端に多い中性子(陽子)過剰不安定原子核は、今まで研究が豊富にされてきた安定原子核と比べて、どのような構造をしているか、ということが原子核物理学の重要課題のひとつとなっている。特にその中でも、中性子数が20に近傍の中性子過剰なNe, Mg, Na原子核では、中性子数が魔法数でにもかかわらず基底状態で大きくレモン型に軸対称変形しているということが実験的に示唆されなど、1990年代より集中的に実験的理論的研究がなされている。しかし、様々な実験がなされているにもかかわらずそのデータは十分ではない。本研究では、スピン偏極した原子核からのベータ崩壊を用いたガンマ線・中性子核分光によってその娘核の準位構造を詳細に決定するという独自の手法を用いて研究を行う。 本年度はまず、以上の研究を行う上で重要となるスピン偏極した原子核を生成法の確立する実験準備を行った。理化学研究所RIBFなどでは、大強度で中性子過剰原子核を生成できるが、スピン偏極の生成は非常に困難である。一方で、その不安定核原子核の生成機構からスピン整列は生成することができる。本研究では、ベータNMRで用いられている手法を用いてそのスピン整列からスピン偏極を生成する新たな手法を考案した。その実証実験を放射線医学総合研究所のHIMACにて2019年の6月に行う予定である。 それと平行して、TRIUMF研究所におけるレーザーを用いたスピン偏極ビームによる核分光研究も進めている。本年度にTRIUMF研究所に中性子過剰な偏極Mgのベータ崩壊を用いてAlを研究する実験提案書を提出し、high priorityで採択された。その実験の準備を2019年2-3月に実際にTRIUMF研究所に滞在し実験準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射線医学総合研究所のHIMACにて実施予定のスピン整列ビームからベータNMRの手法を用いてスピン偏極を生成する実証実験であるが、当初の予定では2018年秋に実施予定であったが、ビームタイムスケジュールの制限の関係から2018年内には実施することができず、計画を変更し2019年6月に実施予定計画である。TRIUMF研究所における研究では、スピン偏極原子核を用いた核分光実験をの実験提案書を提出し、それが採択された。2019年3月には現地での準備を行うなど研究が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は2019年の6月にスピン整列からスピン偏極を生成する新たな手法の実証実験を予定している。それに向けて実験準備を行う予定である。その実験では、静磁場中にスピン整列した不安定13Bを単結晶に停止させ、RF磁場を掃引することで部分的な共鳴を起こすことで、スピン整列をスピン偏極に変換する。13Bは中性子数20の不安定原子核と同様寿命が短いため、以下に短時間にRF磁場をかけられるかがポイントとなる。そのRF磁場掃引システムの開発を行う。加えて、核種によってはスピン偏極を保持するためにビーム停止素材を冷却する必要があるため、その冷却システムについても開発を行っていく。 TRIUMFにおける実験では、2019年冬に実験を行う予定であり、それに向けて現地に数度に分けて滞在しGe検出器や中性子検出器などの準備を順次行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度実施予定であった放射線医学総合研究所の実験の実施時期が次年度に変更となったため、次年度使用額が生じた。次年度の使用計画としては、放射線医学総合研究所および旅費、TRIUMFへの旅費として使用する。加えて、Programmable sequence generatorを1台新たに購入予定である。
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[Presentation] Structure of neutron-rich 31Mg by β-decay spectroscopy of spin-polarized 31Na2018
Author(s)
Hiroki Nishibata , Shinnosuke Kanaya , Tadashi Shimoda , Atsuko Odahara , Shota Morimoto , Ayumi Yagi , Hiroshi Kanaoka , Matthew Pearson , Phil Levy , Masaaki Kimura , Naofumi Tsunoda , Takaharu Otsuka
Organizer
5th Joint Meeting of the APS Division of Nuclear Physics and the Physical Society of Japan
Int'l Joint Research
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[Presentation] Shape coexistence in 31Mg revealed by b-g and b-g-n spectroscopy with spin-polarized 31Na2018
Author(s)
H. Nishibata, S. Kanaya, T. Shimoda, A. Odahara, S. Morimoto, A. Yagi, H. Kanaoka, M. R. Pearson, C. D. P. Levy, M. Kimura, N. Tsunoda, and T. Otsuka
Organizer
The IX International Symposium on Exotic Nuclei (EXON2018)
Int'l Joint Research / Invited